退職前にやることってどういった作業があるの?
このページは退職前にやることについて解説しています。退職後にやることについては以下のページに記載しています。
退職前にやることは大きく分けて『社内作業』と『社外作業』の2つにわかれます。いずれも重要な作業が含まれており、忘れるとあとから面倒になるものもあるので注意してください。
退職前にやること(社内作業)
退職前に社内でやる作業項目のリストです。特に【重要】と記載している『各種書類の受け取り』の項目に関してはリンク先の解説に必ず目を通してください。
[退職前にやること]
では、ひとつずつ解説しています。
【やること1】退職の意思を上司に伝える
退職を決意したら、まず最初にやることは直属の上司へ退職したい旨を伝えます。自分の立場や抱えている仕事量によっても異なりますが、遅くても1ヶ月前頃までに伝えるようにしましょう。言い出し難いことですが、勇気を持って伝えてください。ここで必ずと言っていいほど聞かれるのが「なぜ辞めるの?」です。しっかりとした退職理由を持った人であれば問題なく答えることができるのですが、言い難い理由の時ってありますよね?そういった時は何らかの後付けの理由を伝えても構いませんが、注意点があります。それは、「会社都合になり得ることを自己都合の理由に変えてしまう」ことです。具体的に例を一つ挙げると次のような理由の変換です。
[本来の理由]
上司のパワハラで精神的に追い込まれ通院の結果、「うつ」と診断された。このまま仕事を続けると、身体がもたないので退職する。
[上司に伝える理由]
一身上の都合により退職させてください。
本来の理由の場合、上司に伝え難いですよね。更にその原因が退職を伝える直属の上司だとするとなおさらです。しかし、本来の理由の場合は「会社都合」になり得る理由です。それが「一身上の都合で・・・」と伝えることにより「自己都合」になってしまいます。退職理由が「会社都合」か「自己都合」かによって、失業保険の受給開始日や受給期間が変わってきます。結果として、受給金額も大きく変わってきます。
上司のパワハラで退職に追い込まれているのに失業保険の受給金額も減ると最悪ですよね。
もし、どうしても自分自身で退職を言い出しにくいという人は、最近、利用者が急増している『退職代行サービス』を利用するのも一つの方法です。
まだまだ認知度が低いため『退職くらい自分でしろよ』、『最後くらいきれいに終われよ』という考えの方も多いですが、退職代行サービスは決して悪いサービスではありません。以下のページに詳しく記載しているので宜しければ参考にしてください。
【やること2】退職日の相談
自分の中では退職日は既に決めている場合が多いと思いますが、業務都合や引継ぎの状況次第で日を調整しなおして欲しいと言われる場合があります。もし可能なのであれば会社側の希望を受け入れる方が円満退社になりやすいかと思いますが、転職先が決まっているなど調整が無理な場合はその旨を伝えるようにしてください。
そうなることを少しでも避けるために、退職を伝える時期は早ければ早いほど良いかと思います。
【やること3】退職願いの提出
「退職願い」と「退職届」は異なるものです。退職願いとは、退職したい旨や退職希望日を会社に願い出るための書類のことで、退職届は退職することが確定した後に、退職を会社に届け出るための書類です。
退職願いは一般的には直属の上司や人事に提出します。用紙は会社既定のものが用意されている場合が多いです。
【やること4】退職届の提出
退職届の出し方や書き方は努めている会社によってまちまちなので、上司に確認するのが良いかと思います。大きな会社になると社長に直接渡すのではなく直属の上司や人事経由で社長に渡すことが多いです。また、退職届も最近では会社既定のフォーマットが用意されている場合が多いです。
【やること5】仕事の引き継ぎ
退職準備としてやることの中で最も時間がかかる作業です。勤続年数が長ければ長いほど引き継ぐ量も増えてきます。まずは、自分の携わってきた作業の洗い出しから始まると思いますが、以下の様な内容を上司と相談しつつ進めるようにしましょう。
- 引継ぐ作業内容
- 引継ぐ相手
- 引継ぎ期間
【やること6】取引先や上司、関係者への挨拶回り
業務上で関わったことのある関係者への挨拶回りです。特にどの範囲まで挨拶しなければならないという決まりはありませんが、退職後も人間関係を継続したい人がいれば一声かけておいた方が良いかと思います。
【やること7】私物の整理
ロッカーや机の中に入れている自分の私物の整理を行います。自宅に持って帰るものは持って帰り、不要なものは処分するようにしましょう。
【やること8】物品の返却
会社から借りているものを返却します。会社によって様々ですが以下の様なものがあります。
- 社員章
- 作業着・制服
- パソコン用品
- 入門証
- 名刺
- 健康保険被保険者証
- 鍵
- 業務資料関連
- 社内規定書・社内マニュアル
【やること9】使用していたパソコンの初期化
業務でパソコンを使っていた場合に限ります。また、会社によっては初期化せず使っていたまま置いておく場合もあるので上司に確認するようにしてください。また、パソコン自体の初期化は不要でもメールソフトやアプリケーション各種の初期化は必要になってくる場合があります。忘れてはいけないのが、パソコンにパスワードをかけている場合です。必ずパスワードは解除するようにしましょう。
【やること10】各種書類の受け取り【重要】
退職前に会社から受け取らなければならない書類があります。これを忘れると退職後に辞めた会社に連絡し取りに行く必要が出てくる場合があるので注意が必要です。必ず確認するようにして下さい。
受け取る必要のある各種書類は次の7点です。
[退職時に会社から受け取るもの]
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 年金手帳
- 離職票(通常は後日自宅へ郵送)
- 退職証明書
- 健康保険被保険者証資格喪失証明書
- 厚生年金被保険者資格喪失証明書
上記7点が退職後、どういった時に必要になるかに関しては以下のページにまとめているのでそちらをご覧ください。
退職前にやること(社外作業)
会社業務以外にもやることはたくさんあります。退職後でもできる作業はありますが、早めに行動しておく方が転職活動に注力することができます。
[退職前にやること]
【やること1】クレジットカードを持っていない場合は作る(退職前必須)
クレジットカードは使わないという人であっても、もしクレジットカードを1枚も持っていないのであれば作っておくことをお勧めします。
クレジットカード会社はクレジットカード申し込み時には必ずと言っていいほど、努めている会社に在籍確認を行います。本当に働いていて支払い能力があるかの確認です。
単純に本人が在籍しているかの確認だけなので心配する必要はありません。その他のことはいっさい聞かれないし、会社の総務も在籍確認は日常茶飯事のことなので気にもされません。
問題は退職してしまうとこの在籍確認が取れないため、クレジットカード使用時の支払い能力に疑問が持たれ、クレジットカードを作ろうとしてもカード審査に落ちてしまう場合がよくあります。
クレジットカードは様々なところで使えるため非常に便利です。今まで使っていなくても今後使いたいと思う時がきっとやってきます。車のETCカードですらクレジットカードとセットになっているものがほとんどです。
退職後だと面倒になる場合が多いので、退職前に作っておくようにしましょう。退職後すぐに就職する予定の人や、既にクレジットカードをお持ちの方は必須ではありません。
【やること2】ローンを組む予定がある場合は、審査を通しておく(退職前必須)
過去にローンの支払いを何度も滞納したことがあるという人を除いては、少額のローンであれば気にする必要はないかもしれませんが、家や車など高額なローンを組む場合は職に就いていないと審査に通るのは難しくなります。
高額ローンを組む場合は、退職前に審査を通しておくというのも一つの手ではありますが、ローンを組んで実際に次の仕事がなかなか決まらなかったりすると精神的に追い込まれてしまうので、高額ローンはできる限り次の仕事が決まってから組む方が良いかと思います。
【やること3】失業保険を受給する場合、受給額・受給期間を確認
「退職後、しばらくの間ゆっくりとしたい」、「再就職する前に手に職をつけたり、スキルアップするための期間を設けたい」という人は必須です。
退職後でも構わない作業ではありますが、事前に知っておくことで安心でき転職活動に費やせる期間などの目安にもなります。退職後の転職先が決まっていたり、すぐに再就職するという人はやる必要のない作業です。
失業保険を受給できる期間や、受給額は以下の条件で変わってきます。
- 直近6ヶ月の給与(多いほど受給額が多くなる。)
- 年齢(受給金額の上限に影響する。年齢が高くなるにつれて受給額が増えるが、60歳を超えると減る。)
- 勤続年数(受給できる期間に影響する。勤続年数が長いほど受給期間も長くなる。)
- 退職理由(受給開始日と受給期間に影響する。自己都合で退職した場合より会社都合で退職した場合の方が受給開始が早く、受給期間も長くなる。)
詳しくは、ハローワークの以下のページを参照ください。
ハローワーク公式サイト
【やること4】健康保険の切り替えを考えておく
転職先が既に決まっている人以外は必須でやることです。
公的医療保険は大きく分類して以下の3種類に分類されます。他にもありますが対象者はごくわずかなので、ここでは割愛します。
医療保険の種類 | 対象者 |
---|---|
健康保険(社会保険) | 民間会社の会社員が加入する |
国民健康保険 | 自営業や無職の人が加入する |
共済組合 | 公務員が加入する |
もし、退職後の翌日から新しい職場で働く予定になっているのであれば特に気にする必要はありません。
しかし、退職後に転職活動をする予定で転職先がまだ決まっていない人や、新しい職場は決まっているが働き始めるまで数週間や数ヶ月間が空く場合は働き始めるまでどうするか検討が必要になってきます。選択肢としては次の4つがあります。
[4つの選択肢]
- 国民健康保険に切り替える
- これまで入っていた健康保険(社会保険)に任意継続する
- 両親や配偶者の扶養に入る
- 未加入(加入は義務付けられているので基本的には無し)
いずれも一長一短があり、更に条件によっては無理なものもあります。また、退職時に手続きが必要であったり、退職後2週間以内に申請が必要であったり急を要することが多いため早めに検討するようにしておきましょう。上記4つの選択肢のメリット、デメリット、条件などは以下のページで解説しているので参考にして下さい。
退職後の健康保険は「任意継続」「国民健康保険」どっちがお得?
【やること5】スキルアップ
どういった職種に就きたいか決めている人は、それに向けたスキルアップを徐々に始めていきましょう。退職後の方が時間が取りやすい場合が多いですが、無職期間が長引くと心理的余裕が無くなりやすく勉強に集中しずらくなることがあります。
日頃から常にスキルアップできる人かどうかは、プロの面接官であれば見抜きます。頑張ったことは必ず後から良い形となって返ってくるので頑張りましょう。また、採用試験などがある企業も多いのでそういった準備をしておくのも良いでしょう。
【やること6】資格の取得
資格は退職後でも取得はできますが金銭的に余裕がない限り、落ち着いて勉強ができません。また、試験日も資格によっては年に一度か二度程度しかないものもあります。退職前から計画的に進めていく必要があります。
資格は持っていても実際の業務では役に立たないことがほとんどですが、資格を取得することのメリットもあります。そのメリットとは以下の3点です。
- 自分に自信が持てる
- 基礎的な知識が身に付く
- 世間的な信用が高まる
特に転職する際には3つ目の「世間的な信用が高まる」が重要になってきます。転職する場合、転職先の企業はあなたの人物や過去の業務成果を知っていれば採用判定も楽なのですが、当然知りません。履歴書や職務経歴書、面接、簡易テストからだけで判断されます。
最近では「資格を持っているだけでは業務に役立たないから採用判断の材料としては重要度が低い」と言う人もいますが、決して重要度は低くありません。確かに企業側も資格を持っているからといって業務に直接役立つとは考えていません。
重要なのは、「資格を取得する努力ができる人だ」という点です。
資格を取得するのには少なからず努力が必要になってきます。努力ができる人は、職場以外でも率先して自己啓発などを行い、新しい職場でも早い段階で戦力になってくれると判断できるのです。スタート時はそこそこ実力があるが、あまり努力をしない人より、実力は少し程度低くても努力ができる人の方が今後の伸びが期待でき企業側としても欲する人材ということになります。
転職で有利になる資格を以下のページにまとめているので宜しければ参考にしてください。
【やること7】退職後の行動計画を立てる
退職後の計画は退職後に立てることも可能ですが、退職前に立てておくことで問題が発生した場合に対応しやすくなります。
- 再就職する前に資格を取りたいけど間に合わない
- 再就職する前にスキルアップしたいけど間に合わない
- 職業訓練に通いたいけど応募が既に終わっていた
- 再就職する前に旅行に行きたいけど行く日がない
- 再就職する前に旅行に行きたいけどお金がなかった
- など…
いずれも計画を立てるときに気付く場合がある内容です。退職前の早い段階で気付いていれば退職の時期や再就職の時期を調整したり、貯蓄をしたりすることができたのですが後になるにつれて難しくなってきます。
早くて計画を立てても変わるかもしれないという理由で後回しにする人もいますが、変わるのは全く問題ありません。重要なのは計画を早めに出すことで計画が遂行しやすくなるという点と、問題に早く気付くことで対応ができるという点です。
退職後の計画はできる限り早めに立てるようにしましょう。
【必読】求人情報の確認
求人の量は時期のよって多かったり少なかったりします。また、求人が多くても自分の希望する条件を満たした企業が求人を出しているとも限りません。
そこで退職後に転職活動をしようと考えている人も退職前に一度は求人情報を確認するようにしてください。
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