国民健康保険料は未加入だった時期の分まであとから請求されることがあります!
このページではなんで未加入だった時期までさかのぼって保険料を請求されるのか?そして、どういったときに請求されて、どういった場合は請求されないのかについて解説しています。
■目次
国民健康保険料をあとから請求される理由
退職してこれまで会社で加入していた社会保険(健康保険)を脱退し、国民健康保険への切り替えを行わなかった場合、無保険期間分の国民健康保険料をあとから請求されることがあります。
たとえば、下図のように3/31で退職し4~5月は切り替え手続きをせず、6/1になってから国民健康保険への加入手続きをしたとします。そうすると加入手続きのときに4~5月分までさかのぼって保険料を請求されるのです。
では、なぜさかのぼって保険料を請求されるのか?
なぜなら国民健康保険料の請求は、国民健康保険への加入手続きをしたときからではなく、国民健康保険への加入資格を得たときから発生するからです。
そして、国民健康保険の加入資格が得られるのは退職した翌日からになります。上記の例でいうと4/1から国民健康保険料の請求対象となります。
請求されない場合もある!それはどんなとき?
あなたが国民健康保険への加入資格を得ていたにも関わらず切り替え手続きを行っていない時期があった場合、さかのぼって保険料を請求されるというのは前述した通りです。しかし、さかのぼって請求されない場合もあります。
それは以下のようなときです。
請求がこない
- 合法的に請求が不要なとき
- 退職月と再就職の月が同じ場合
- 国民健康保険料の時効が過ぎた場合
- 管理上請求が漏れる場合
- 引っ越しした場合
- 未加入の時期があったがそのご社会保険(健康保険)に加入した場合
では、これらをもう少し具体的に解説していきます。
退職月と再就職の月が同じ場合
正確には退職日の翌日(国民健康保険の加入資格を得た日)と再就職して社会保険(健康保険)に加入する日が同じ月だった場合は国民健康保険料の支払いは不要となります。たとえば以下のようなパターンのときです。
3/31に退職した場合、その翌日の4/1に国民健康保険の加入資格を得ます。
よって、保険料の請求対象もこの4/1以降からになるのですが、4/20に再就職をし職場で社会保険(健康保険)に加入すると4/1~4/19の国民健康保険料は不要となるのです。
では、なぜ不要になるのでしょうか?
それには次のようなルールがあるからです。
保険料請求のルール
- 保険料に日割り計算はなく月単位での請求になる
- 社会保険(健康保険)も国民健康保険も月末時点で加入してる場合、その月の請求対象となる
ルールに当てはめて再度、先ほどの例で見ると請求は下図のようになります。
4月末の時点で加入しているのは国民健康保険ではなく社会保険(健康保険)の方になります。よって、4月分の保険料の請求は社会保険(健康保険)料として請求されます。
これは保険料の二重払いを防ぐための策の1つではあるのですが、二重払いになってしまうケースもあります。保険料の二重払いに関しては、以下のページで詳しく解説しているので宜しければ参考にしてください。
これにより月初めから働きだした方がいいのか?それとも月中から働きだした方がいいのか悩む方もおられます。
それはケースによっても変わってきますが、社会保険(健康保険)の方が保険料を会社が半額負担してくれるため支払う保険料が安くなります。また、老後の保障も国民健康保険より手厚いので上記の例のように月中から働きだし社会保険(健康保険)に加入している期間を少しでも長くする方が得な場合は多いです。
社会保険(健康保険)と国民健康保険
- 社会保険の方が老後の保証が手厚い
- 社会保険料の方が会社が半額負担してくれるため圧倒的に安い
国民健康保険料の時効が過ぎた場合
国民健康保険料の支払いには時効があり、時効が過ぎた分は支払いが不要になります。
時効について詳しく話す前に2点ほど知っておいていただきたい点があります。
知っておいてほしい点
- 国民健康保険は国ではなく区市町村ごとに管理されている
- 国民健康保険料には『保険料』と『保険税』の2種類がある
これまで国民健康保険料と統一して記載してきましたが、実は『国民健康保険料』と『国民健康保険税』の2種類があります。これは区市町村ごとにどちらを選ぶか決める権利があり、区市町村よって異なります。
支払う額などに特に違いがあるわけではなく、直接われわれ国民に大きな影響はありません。大きな違いとしては関係する法令が異なるという点です。保険料の場合は国税徴収法として、保険税の場合は地方税法として徴収されます。
保険税の地方税法の方がより厳しい内容となっており、滞納者などに対してより厳しく接することができる内容(時効期間が長かったり、差し押さえの優先順位が高いなど)になっています。そのため保険税の方を適用している区市町村の方が割合的に多いです。
では、本題に戻ります。
時効期間
時効は前述した通り『国民健康保険料』と『国民健康保険税』で異なり、国民健康保険税として適用している区市町村の方が長くなっています。お住いの区市町村がどちらを適用しているのかは管轄の区市町村役場でご確認ください。
時効期間
- 国民健康保険料の場合は、最長2年前までさかのぼって請求できる
- 国民健康保険税の場合は、最長3年前までさかのぼって請求できる
国民健康保険の請求対象期間の開始は、加入手続きをした日ではなく加入資格を得た日(退職した翌日)です。
ここで記載している時効は、国民健康保険の加入資格を得ているにもかかわらず加入手続きをせず保険料(保険税)を未払いの場合の時効です。加入手続きをしているが保険料(保険税)を支払わず滞納した場合の時効は保険税はさらに長くなっており5年となっています。保険料の滞納は2年で同じです。
よって、下図のように時効を過ぎた分に関しては支払いは不要となりますが、時効までの分はさかのぼって請求されることになります。
引っ越しした場合
国民健康保険の脱退と加入は各区市町村ごとに管理されています。そのため引っ越しをして転居した場合、保険料の請求がこない場合があります。ただし、これは単なる管理が漏れるケースであり本来は支払う義務があるということは認識しておいてください。
では、具体的にどういった場合なのか?
それは下図のようなケースです。
2020年3月31日に退職した場合、国民健康保険の加入資格は翌日の4月1日となり、加入手続きの有無に関係なく国民健康保険料の支払い対象期間となります。
しかし、管轄の品川区ではこの人が退職して加入資格を得ているというのはチェックしていないため、国民健康保険料の請求は届きません。通常チェックされるのは加入手続きをするさいです。
その後、約3年1ヶ月無保険期間が続いた後、荒川区へ引っ越したとします。国民健康保険は区市町村ごとに管理されているため、荒川区としてはこの人が国民健康保険の加入資格を得たのは転入してきた2020年5月1日という扱いになります。
よって、荒川区がチェックするのは2020年5月1日以降からであり、請求も2020年5月分からとなります。それ以前は本来品川区がチェックをし品川区から請求がくるべきなのですが、チェックするタイミングがないため請求がこない可能性が高いです。
未加入の時期があったがそのご社会保険(健康保険)に加入した場合
以下のようなパターンのようなときも過去の未払い分の請求がこない可能性が高いです。
2020年4月1日~2023年4月9日分の保険料が未払いのままですが、その後、一旦再就職をし社会保険(健康保険)に加入すると次に国民健康保険の加入資格を得るのは退職した翌日の8/1となります。
よって、チェック体制が甘い区市町村の場合、請求対象期間は8/1から開始と判断し過去の請求が届かない可能性があります。
しかし、本来は支払う義務があり請求が届くかどうかは区市町村のチェック次第だという点は認識しておいてください。時効が過ぎていた場合は確実に届きません。(参照:国民健康保険料の時効が過ぎた場合)
まとめ
このページをしっかりと読んで頂いた方であればもうお分かりだと思いますが、国民健康保険を未加入のままでいるメリットはほぼなくリスクの方がはるかに高くなります。
時効(保険税は3年、保険料は2年)が過ぎるまで加入手続きをせずに逃げ切ろうとしても請求がこないのは時効が過ぎた分だけであり、時効内の保険料の請求は常に届くことになり延滞金なども加算されるだけではなく最悪、資産の差し押さえのリスクもともないます。
もちろん怪我や病気で医療費が発生した場合は全額負担となってしまいます。
以下のページも参考にし退職したら国民健康保険への切り替えをしっかりと行うようにしてください。