保険料の二重払い

保険料が二重で引かれてて『なんで?』と思ったりしていませんか?

実は保険料は二重払いになるケースがいくつかあります。そして、二重払いになった場合は申請すれば還付(返金)される場合と還付されない場合があります。

このページではそのあたりも含めて保険料の二重払いについて詳しく解説していきます。

保険料が二重払いになるケースとは?

保険料が二重払いになるケースは下記の3パターンがあります。通常はこの4パターン以外で二重払いになることはまずありません。

二重払いになるケース

  1. 退職して社会保険を任意継続し、その後、同じ月に国民健康保険に切り替えた場合
  2. 退職して社会保険を任意継続し、その後、同じ月に再就職した場合
  3. 入社して同じ月に退職した場合
  4. 再就職するさいに国民健康保険、任意継続の脱退手続きを忘れた場合

この3つのケースについて一つずつ詳しく解説していきたいと思います。

退職して社会保険を任意継続し、その後、同じ月に国民健康保険に切り替えた場合

退職してそれまで加入していた社会保険を任意継続に切り替え、さらに同じ月に国民健康保険に切り替えた場合は『任意継続した社会保険料』と『国民健康保険料』の二重払いになります。

社会保険料と国民健康保険料の二重払い

このように任意継続に切り替えた月にさらに国民健康保険に切り替える人はまずいないと思うのでレアケースだと思いますが、二重払いになる理由としては、社会保険料もしくは任意継続した社会保険料には以下のルールがあるためです。

社会保険料(任意継続含む)のルール

  1. 社会保険(任意継続)料は、加入した月は請求対象となり、脱退した月は請求対象外となります。しかし、加入した月と脱退した月が同じ場合はその月の保険料は請求対象となる。
  2. 社会保険(任意継続)料は、日割り計算ではなく月単位での支払いとなる。

任意継続として社会保険の加入資格を得るのは退職日の翌日なので4/1からとなります。そして、同じ月の4/10に任意継続を脱退するため上記のルール1が適用され任意継続の保険料の支払い対象となります。

また、ルール2より加入していた4/1~4/10までの保険料だけではなく、4月の1ヶ月分の保険料が請求されます。さらに国民健康保険も日割り計算はされず月単位での支払いとなるため、実質『任意継続した社会保険の1ヶ月分の保険料』と『国民健康保険の1ヶ月分の保険料』の二重払いとなります。

退職して社会保険を任意継続し、その後、同じ月に再就職した場合

退職してそれまで加入していた社会保険を任意継続に切り替え、さらに同じ月に再就職した場合は『任意継続した社会保険料』と『再就職先で加入する社会保険料』の二重払いになります。

任意継続と転職先の社会保険料の二重払い

二重払いになる理由としては、先述した通り社会保険料もしくは任意継続した社会保険料には以下のルールがあるためです。

社会保険料(任意継続含む)のルール

  1. 社会保険(任意継続)料は、加入した月は請求対象となり、脱退した月は請求対象外となります。しかし、加入した月と脱退した月が同じ場合はその月の保険料は請求対象となる。
  2. 社会保険(任意継続)料は、日割り計算ではなく月単位での支払いとなる。

4/1から任意継続に切り替わり、同じ月の4/10に任意継続を脱退するので上記ルールが適用され任意継続料として1ヶ月分の保険料の支払い義務が発生します。

さらに転職先であらたな社会保険に加入するので、これもまた上記ルールが適用され加入月は保険料の支払い義務があるため、結果的に『任意継続の1ヶ月分の保険料』と『再就職先で加入する社会保険の1ヶ月分の保険料』の二重払いになります。

同月に再就職する可能性がある場合は、任意継続ではなく国民健康保険に加入する

退職した月と同じ月に再就職する可能性がある場合は、下図のように任意継続するのではなく国民健康保険に加入するのがおすすめです。

任意継続ではなく国民健康保険に加入する

社会保険料(任意継続料も同じ)には何度も記載している通り、加入した時と脱退した月が同じ場合は保険料の支払い義務が発生します。しかし、国民健康保険は少しルールが異なっており以下のようになっています。

国民健康保険料のルール

国民健康保険料は、月末時点で国民健康保険に加入しているとその月の保険料の支払い義務が発生する。

※各区市町村によってルールが異なる場合もありますが、ほぼすべての区市町村で上記のルールとなっています。

社会保険のように加入した月と脱退した月が同じでも月末時点で国民健康保険に加入していなければ保険料の支払い義務はないため二重払いにはなりません。

支払い義務があるのは、転職先で加入する社会保険の4月分の保険料のみとなります。

保険料が二重払いにならないケース

入社して同じ月に退職した場合

入社した月と同じ月に退職した場合は、退職後に任意継続しようが国民健康保険に加入しようが保険料が必ず二重払いとなってしまいます。

入社して同じ月に退職した場合の保険料

退職前に加入していた社会保険

社会保険料のルールより加入した月と退職した月が同じ場合はその月の1ヶ月分の保険料を支払う義務が発生します。

転職して転職先で新たな社会保険に加入した場合

転職して新たな職場で社会保険に加入した場合、社会保険料のルールより加入した月はその月の1ヶ月分の保険料を支払う義務が発生します。

退職後、任意継続に切り替えた場合

退職してこれまで加入していた社会保険を任意継続する場合も社会保険料のルールより加入した月はその月の1ヶ月分の保険料を支払う義務が発生します。

一時的に国民健康保険に加入したあと転職した場合

退職して一時的に国民健康保険に加入し、その後、転職して新たな職場で社会保険に加入した場合です。国民健康保険は国民健康保険のルールにより月末時点で加入していないと保険料の支払い義務は発生しないため国民健康保険料としては支払う必要はありません。しかし、新たな職場で社会保険に加入した場合、社会保険料のルールより加入した月はその月の1ヶ月分の保険料を支払う義務が発生します。

退職して国民健康保険に加入した場合

国民健康保険のルールにより月末時点で国民健康保険に加入しているとその月の1ヶ月分の保険料の支払い義務が発生します。

再就職するさいに国民健康保険、任意継続の脱退手続きを忘れた場合

国民健康保険と任意継続の加入、脱退手続きは自分自身で行う必要があります。(任意継続の加入は退職時に会社側で手続きしてくれる場合もある)

転職先が決まり再就職するときに入っていた国民健康保険または任意継続の脱退手続きを忘れると、転職先で加入する社会保険料と二重で請求されてしまう場合があります。

退職した月の保険料が二重払いになることは基本的にはない

退職した月の保険料が二重払いになるのではと心配される方も多いですが、『保険料が二重払いになるケースとは?』の章で記載した例外的なケースを除いて基本的には二重払いになることはりません。

もし、『保険料が二重払いになるケースとは?』に該当しないのに二重で保険料を請求されている場合は手続きする側の何らかのミスの可能性もあるので、手続きしている方に確認するようにしてください。

還付(返金)されるケースと還付されないケース

保険料が二重払いとなるケースは、以下の4つしかありません。この中で申請すれば還付(返金)されるケースがあります。

二重払いになるケース

  1. 退職して社会保険を任意継続し、その後、同じ月に国民健康保険に切り替えた場合
  2. 退職して社会保険を任意継続し、その後、同じ月に再就職した場合
  3. 入社して同じ月に退職した場合
  4. 再就職するさいに国民健康保険、任意継続の脱退手続きを忘れた場合

申請して還付(返金)してもらえるのは4の『再就職するさいに国民健康保険、任意継続の脱退手続きを忘れた場合』の場合です。

それ以外のケースはすべて決められたルールにより二重払いになっているため、還付してもらうことはできません。

還付(返金)の手続き方法

還付(返金)の手続きは脱退手続きを忘れたのが『国民健康保険』なのか『任意継続』なのかによって異なります。

国民健康保険 任意継続
手続き場所 住民登録をしている区市町村役場(郵送手続きも可) 協会けんぽ支部(郵送手続きも可)
必要な物 新しい社会保険証、国民健康保険被保険者証、印かん、マイナンバー確認書類 新しい社会保険証、任意継続保険者証、印かん、マイナンバー確認書類(郵送の場合は、任意継続被保険者資格喪失申出書を提出)