失業保険受給中に再就職は損

失業保険の『全額受給』vs『再就職手当』どっちが得でメリットが大きいのか徹底検証!

失業保険の受給中に再就職すると受給がストップする代わりに再就職手当が支給されます。しかし、失業保険を全額受給する方が得なのではと考えている人も多いと思います。

このページでは失業保険を全額受給する方が得なのか?それとも受給中に再就職する方が得なのかについて多角的に解説しているので参考にしてください。

失業保険を全額受給してから再就職する場合のメリットとデメリット

失業保険を全額受給し終えてから再就職する場合、メリットは次の3点があります。特に『働かずして長期間お金を受給し続けることができる』は最も魅力的で皆を惑わす原因にもなっています。

全額受給し終えてから再就職するメリット

  • 働かずして長期間お金を受給し続けることができる
  • 条件の良い会社を時間をかけて探すことができる
  • スキルアップのための時間が確保できる

メリットが3点なのに対してデメリットはたくさんあります。

全額受給し終えてから再就職するデメリット

  • 失業期間が長くなるので働く意欲が低下する
  • 失業期間が長いので転職活動が不利になる
  • 失業期間が長いので最新の技術や情報から遅れをとってしまう
  • 再就職手当もしくは就業手当が支給されない
  • 就業促進定着手当が支給されない

『再就職手当』、『就業手当』、『就業促進定着手当』に関しては『『再就職手当』、『就業手当』、『就業促進定着手当』とは何?』の章で詳しく解説しているのでそちらをご覧ください。

受給中に再就職し再就職手当をもらうメリットとデメリット

失業保険を受給中に再就職した場合のメリットとデメリットは以下の通りです。基本的には全額受給し終えてから再就職する場合のメリットとデメリットが逆転した形になります。

受給中に再就職した場合のメリット

  • 再就職手当もしくは就業手当が支給される
  • 就業促進定着手当が支給される場合がある
  • 失業期間が短いので労働意欲があまり落ちない
  • 失業期間が短いので転職活動が不利になり難い
  • 失業期間が短いので最新の技術や情報から遅れが少ない

受給中に再就職した場合のデメリット

  • 失業保険の給付日数が残っていても打ち切られる
  • 良い条件の会社をじっくりと探す時間がない
  • スキルアップをするための時間がない

『再就職手当』、『就業手当』、『就業促進定着手当』に関しては『『再就職手当』、『就業手当』、『就業促進定着手当』とは何?』の章で詳しく解説しているのでそちらをご覧ください。

『再就職手当』、『就業手当』、『就業促進定着手当』とは何?

失業保険の受給日数が残っているときに再就職した人限定!

失業保険の受給日数が残っているときに再就職をすると、『再就職手当』や『就業手当』、『就業促進定着手当』の手当てが支給される場合があります。この手当がどういったものかについて解説しておきます。

全額受給し終えてから再就職した方はこれらの手当は対象外となります。

再就職手当とは?

再就職手当は失業保険の受給中に再就職が決まった人に支給される手当です。

ただし、再就職手当を受給するには失業保険の給付日数が3分の1以上残っている必要があります。3分の2以上残っている場合は、残っている日数(金額)の70%が支給されます。3分の1以上の場合は、残っている日数(金額)の60%が支給されます。

再就職手当に関する具体的な条件や支給金額などについては以下のページで解説しているので宜しければ参考にしてください。

就業手当とは?

就業手当は、再就職手当と同じような意味合いの手当です。再就職手当は1年を超えて勤務をすることが確実な人が対象ですが、この就業手当は1年以下で期間の定めのある雇用契約で就労する人が対象となります。

ただし、就業手当を受給するには失業保険の給付日数が3分の1以上かつ45日以上残っている必要があります。

就業促進定着手当とは?

就業促進定着手当は、再就職手当を受給した人が継続して6ヵ月以上勤務し、かつ再就職先の賃金が以前働いていた会社の賃金より低下した場合に支給される手当です。

就業促進定着手当に関しては以下のページで詳しく解説しているので宜しければ参考にしてください。

実際の受給金額の差をシミュレーション

失業保険の給付日数120日の人が再就職するタイミングによって受給額にどういった差が生じるのか下記の3つの例に分けてシミュレーションしてみます。

【例1】全額受給後に再就職

給付日数:120日
残給付日数:0日(120日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円

【例2】給付日数6分の1(16%)を残して再就職

給付日数:120日
残給付日数:20日(100日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円
再就職後の賃金日額:6,000円

【例3】給付日数3分の1(33%)を残して再就職

給付日数:120日
残給付日数:40日(80日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円
再就職後の賃金日額:6,000円

【例4】給付日数3分の2(66%)を残して再就職

給付日数:120日
残給付日数:80日(40日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円
再就職後の賃金日額:6,000円

※補足事項1
『退職前の賃金日額』は、失業保険の給付日数を算出した時にも使われており、退職直前6ヵ月の給与総支給額合計(ボーナスや退職金は除く)を180日で割り1日当たりの金額を算出したものです。詳しく知りたい方は、『まずは、自分の賃金日額を知る!』を参照してください。

※補足事項2
『再就職後の賃金日額』は、再就職先で6ヶ月の間に支払われた給与総支給額合計を180日で割り1日当たりの金額を算出したものです。

【例1】全額受給後に再就職

【例1】全額受給後に再就職

給付日数:120日
残給付日数:0日(120日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円

失業保険受給額=120日x7,100円=852,000円
その他付属手当=なし

受給額合計=852,000円

【例2】給付日数6分の1(16%)を残して再就職

【例2】給付日数6分の1を残して再就職

給付日数:120日
残給付日数:20日(100日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円
再就職後の賃金日額:6,000円

失業保険受給額=100日x7,100円=710,000円
その他付属手当=なし

受給額合計=710,000円

【例3】給付日数3分の1(33%)を残して再就職

【例3】給付日数3分の1を残して再就職

給付日数:120日
残給付日数:40日(80日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円
再就職後の賃金日額:6,000円

失業保険受給額=80日x7,100円=568,000円

給付日数が3分の1以上残っているので『支給残日数の60%x基本手当日額(上限あり)』の再就職手当が支給されます。再就職手当の計算で用いられる基本手当日額は上限が設けられており、6,105円(毎年8月1日に見直しされます)となっています。よって、基本手当日額のベースとなる退職前の賃金日額7,100円が上限を超えているので基本手当日額は6,105円となります。

再就職手当=40日x60%x6,105円=146,520円

更に再就職した後の6ヶ月間の給与総額から算出した賃金日額6,000円が前職の賃金日額7,100円を下回っているため就業促進定着手当が支給されます。支給額は『(退職前の賃金日額-再就職後の賃金日額)x6ヵ月間の暦日数』です。(日給制や時給制の場合は「暦日数」ではなく「労働日数」が計算で適用される)

就業促進定着手当=(7,100円-6,000円)x180日=198,000円

ただし、就業促進定着手当は上限が設定されており、『基本手当日額(上限6,105円)x残給付日数x40%』を超えてはならないことになっています。

就業促進定着手当の上限=6,105円x40日x40%=97,680円

よって、就業促進定着手当は上限の97,680円の方が適用されます。

失業保険受給額=568,000円
再就職手当=146,520円
就業促進定着手当=97,680円

受給額合計=812,200円

【例4】給付日数3分の2(66%)を残して再就職

【例4】給付日数3分の2を残して再就職

給付日数:120日
残給付日数:80日(40日分受給済み)
退職前の賃金日額:7,100円
再就職後の賃金日額:6,000円

失業保険受給額=40日x7,100円=284,000円

給付日数が3分の2以上残っているので『支給残日数の70%x基本手当日額(上限あり)』の再就職手当が支給されます。再就職手当の計算で用いられる基本手当日額は上限が設けられており、6,105円(毎年8月1日に見直しされます)となっています。よって、基本手当日額のベースとなる退職前の賃金日額7,100円が上限を超えているので基本手当日額は6,105円となります。

再就職手当=80日x70%x6,105円=341,880円

更に再就職した後の6ヶ月間の給与総額から算出した賃金日額6,000円が前職の賃金日額7,100円を下回っているため就業促進定着手当が支給されます。支給額は『(退職前の賃金日額-再就職後の賃金日額)x6ヵ月間の暦日数』です。(日給制や時給制の場合は「暦日数」ではなく「労働日数」が計算で適用される)

就業促進定着手当=(7,100円-6,000円)x180日=198,000円

ただし、就業促進定着手当は上限が設定されており、『基本手当日額(上限6,105円)x残給付日数x40%』を超えてはならないことになっています。

就業促進定着手当の上限=6,105円x80日x40%=195,360円

よって、就業促進定着手当は上限の195,360円の方が適用されます。

失業保険受給額=284,000円
再就職手当=341,880円
就業促進定着手当=198,000円

受給額合計=823,880円

結論としてどっちが得?

結局のところ、失業保険を全額受給してから再就職した方が得なのか?それとも受給途中でも再就職した方が得なのか?

まずは、『実際の受給金額の差をシミュレーション』の章で算出した【例1】~【例4】の受給金額を下図で比較してみたのでご覧ください。

受給金額比較

どうでしょうか?
【例2】のケースを除いてさほど差はありませんよね?

【例2】は、給付日数120日の内、6分の1(16%)である20日分を残して再就職した場合ですが、給付日数の残日数が0日以上 ~ 3分の1(33%)未満の場合は『再就職手当』や『就業促進定着手当』などが付きません。3分の1(33%)に近い日数分を残せば残すほど合計受給額が減ります。

たとえば、給付日数120日の3分の1は40日です。未満なので39日を残して再就職するのが最も損(合計受給額575,100円)ということになります。

結論として、当サイトJOBHUNTINGの見解としては下表の通りです。

受給残日数別の再就職おすすめ度

受給残日数 JOBHUNTINGの見解
全額受給後再就職 おすすめ度★★★
合計受給額が最も多くなりますが、失業期間が長くなるため転職活動が不利になり、再就職後の給与が下がるリスクが高くなります。
1日以上~1/3未満を残して再就職 おすすめ度
合計受給額は給付日数の1/3に近い日数分を残すほど合計受給額は減ります。『再就職手当』や『就業促進定着手当』といった手当もなく、失業期間も長めになるので一番おすすめしません。
1/3日以上~2/3未満を残して再就職 おすすめ度★★★★★
『就業促進定着手当』は前職よりも給与が減った場合にしか受給できないため前職よりもアップした場合は合計受給額が減ってしまいます。しかし、給与がアップした結果、その差分は直ぐに取り戻せるので影響は少ないはず。また、失業期間が短いので転職活動も有利になりやすいです。
2/3以上残して再就職

失業保険を全額受給した方が得だと考える人も多いですが、合計受給額は大きく変わらないという点、転職活動への影響をという点を考えると少しでも早く再就職をした方がメリットが大きいと思います。

当サイトJOBHUNTINGが厳選しておすすめしている転職サイトを以下のページで紹介しているので宜しければ参考にしてください。