失業保険の受給期間は条件を満たしていれば延長することができる!
『転職活動をまじめにやってるのに転職先がなかなか決まらない』
『全額受給する前に受給期限が切れてしまう』
こういった理由で失業保険の受給期間を延長したいという人もおられると思います。このページでは失業保険の受給期間を延長するための方法と延長条件について解説しています。
■目次
あなたが延長したいのはどっち?
失業保険の延長は大きく分類して以下の2つがあります。
どちらを延長したいかによって条件や延長できる期間に違いがあるため、まずはあなたがどちらを延長したいのか確認し、知りたい方のリンクをクリックし該当章に飛んでください。
失業保険の延長の種類
どちらに該当するかよく分からないという人は引き続き次章をご覧ください。
受給期間(給付日数)の延長とは?
失業保険は、『勤続年数(雇用保険に加入期間)』と『退職時の年齢』、『退職理由』の3つによって受給できる日数が決定されます。
たとえば、35歳の人が10年間勤めていた会社を自己都合で退職した場合、120日間失業保険を受給することができます。『受給期間(給付日数)の延長』とは、この給付日数120日を150日や180日に延長することを意味しています。
延長条件を確認したい方は、『受給期間(給付日数)の延長条件』の章をご覧ください。
また、自分が受給できる日数を知りたい場合は、以下のページで詳しく解説しているので宜しければ参考にしてください。
受給期限の延長とは?
失業保険の受給には期限が設けられており、退職した翌日から1年以内に受給し終えなければならないと定められています。
どれだけ給付日数の長い人でも最大で330日なので通常であれば1年以内に全額受給し終えることができます。
しかし、失業保険の申請が遅れ受給開始時期が遅れたり、病気やケガ、妊娠などで長期間働くことができなくなった人は失業保険の受給対象外となり、受給を一時的に止める(復帰後は受給を再開できる)必要があります。そう言った場合に受給期限の1年を超えてしまうことがあります。
受給期限の延長とはこの1年という期限をさらに延長することを意味します。期限を延長するだけであり、実際に受給できる日数が増えるわけではありません。
延長は本来の受給期限1年に受給を一時的に止めた期間分だけ加え延長することができます。下図の例であれば、30日間受給をストップさせたので、受給期限は1年30日となります。
この延長条件を知りたい方は、『受給期限の延長条件』の章をご覧ください。
また、どういったときに失業保険の受給を止めなければならないのかについては以下のページが参考になるかと思います。
失業保険の延長条件
『受給期間(給付日数)』と『受給期限』を延長するためにはどういった条件が必要なのか?
それぞれ別々に解説していきます。ご自身が該当する方をご確認ください。
受給期間(給付日数)の延長条件
失業保険の受給期間が延長されると、実際に総受給額が増えることになるのでとてもありがたいですよね。しかし、延長するための条件は以下の1つしかありません。
受給期間(給付日数)の延長条件
- 公共職業訓練を受講する
公共職業訓練の受講期間は2ヵ月という短期間のものもあれば2年という長期間のものまであります。
長期間の公共職業訓練を受講する場合、失業保険の受給期間内に修了することができず、その間、収入源がなくなると生活が苦しくなり職業訓練に通っている場合ではないとなってしまいますよね?
そういったことにならずに安心して職業訓練に専念できるように職業訓練受講期間中は失業保険の受給期間(給付日数)を延長してもらうことができるのです。もちろん1年の受給期限も解除されます。
また、本来であれば給付制限中は失業保険は受給できないのですが、給付制限中に職業訓練の受講を開始すると、給付制限が解除され受講開始とあわせて失業保険も前倒して受給開始となります。
受給期限の延長条件
失業保険の受給期限は退職した翌日から1年以内となっており、受給日数が残っていたとしても1年を超える部分は受給できず消滅してしまいます。
しかし、働くことのできないやむを得ない理由が継続して30日以上続く場合は、その続いた期間分だけ期限を延長してもらうことができます。
では、そのやむを得ない理由とはどういった理由か?
主に以下のような理由が該当します。
延長条件になり得るやむを得ない理由
- 病気やけが
- 妊娠や出産、3歳未満の子供の育児
- 小学校就学前の子の看護
- 親族などの看護や介護
- 配偶者の海外勤務に本人が同行する場合
- ボランティア活動
- 60歳以上の定年退職者が離職後しばらくの間、休養する場合
延長条件になり得る理由は上記がすべてではありません。もし、自分の理由もやむを得ないと思う人は、管轄のハローワークで相談してみてください。
失業保険の延長できる期間はどれくらい?
失業保険の延長条件を満たした場合、いったいどのくらいの期間まで延長することが可能なのか?
『受給期間(給付日数)』の延長期間と、『受給期限』の延長期間をそれぞれ別々に解説していきます。
受給期間(給付日数)の延長できる期間
受給期間(給付日数)を延長するための条件は『受給期間(給付日数)の延長条件』の章で記載した通り、職業訓練を受講するしかありません。
延長できる期間は、特に制限はなく職業訓練の受講が修了するまでです。
よって、受講期間が長い職業訓練を受講すればするほど延長される期間も長くなります。ただし、職業訓練の受講期間が失業保険の受給期間内におさまっている場合は、延長は一切ありません。
期間が延長されるのはあくまで、下図のように職業訓練の受講期間が失業保険の受給期間を超える場合に限ります。
受給期限の延長できる期間
受給期限の延長は最大で3年です。
元々の受給期限が1年なので、この1年に加え3年が延長されるので合計4年の受給期限となります。よって、退職日の翌日から4年以内であれば失業保険は受給できることになります。
失業保険の延長手続きの方法
失業保険の受給期間(給付日数)の延長、および受給期限を延長する場合の手続きの期限と手続きに必要なものについて解説していきます。
手続きのタイミングと手続きの期限
手続きの期限
受給期間(給付日数)の延長手続きの期限
職業訓練の受講が決定した際に一緒に管轄のハローワークで行われるので特に気にする必要はない。
受給期限の延長手続きの期限
30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日以降、早期に手続きするのが原則。しかし、最終的な期限は延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請が可能
まず、受給期間(給付日数)の延長手続きに関しては、職業訓練の受講が決定した際に一緒に管轄のハローワークで行われるので特に気にする必要はありません。
少しややこしいのが受給期限(退職日の翌日から1年)を延長する場合の期限です。
平成29年3月末までは、ケガや病気などで30日以上働けない状態(就職活動ができない状態)になった日の翌日から1ヵ月以内に申請しなければならなかったのですが、平成29年4月から申請期限が緩和され、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請が可能となりました。
『延長後の受給期間の最後の日までの間』というのが少し分かり難いので解説をしておきます。
『延長後の受給期間の最後の日までの間』とは?
下図の例であれば、病気やケガなどの理由で6ヶ月間職業に就くことができなくなった(就職活動ができなくなった)場合、当初の受給期限1年が6ヵ月延長され合計1年6ヵ月となります。その1年6ヵ月の間であれば申請可能ということになります。
ただし、受給できなかった期間分の失業保険は、申請後に受給可能となるため申請期限ギリギリに申請して受給期間が多く残っていた場合、受給しきれなくなることがあるのでできる限り早く申請するようにしてください。
延長手続きに必要なものと手続き方法
延長手続きするさいは以下の持ち物が必要になります。以下の持ち物を持って管轄のハローワークで申請してください。
手続きに必要な持ち物
- 受給期間延長申請書
- 雇用保険受給資格者証(受給資格を既に得ている場合)
- 離職票-2(受給資格をまだ得ていない場合)
- 延長理由に該当することの事実を確認できる書類
- 印鑑
- 委任状(本人以外が手続きする場合)
- 身分証明書(本人以外が手続きする場合、代理人の身分証明書)
代理人に手続きをしてもらう場合は委任状が必要になります。上記の書類を郵送して手続きすることも可能です。
持ち物について数点以下に補足しておきます。
受給期間延長申請書について
『受給期間延長申請書』は、管轄のハローワークに直接行くか電話で連絡し郵送してもらうことで入手できます。ハローワークに行って手続きされる方は、手続き当日にその場で入手し記載すればよいかと思います。
電子政府の総合窓口e-Govからもダウンロードできるのでリンクを張っておきますが、フォーマットが異なる可能性があるのでできる限りハローワークから直接入手するようにしてください。
離職票-2
『離職票-2』は、求職者給付の申込(失業保険の給付申込)前で、まだ『雇用保険受給資格者証』を持っていない人のみが必要となります。既に求職者給付の申込をし、『雇用保険受給資格者証』を持っている人は雇用保険受給資格者証の方が必要となります。
延長理由に該当することの事実を確認できる書類
たとえば病気やケガが理由で期間を延長したい場合、医師の診断書の証明書などが必要になります。理由によって事実を確認できる書類が異なるため、何で証明すればいいのか分からないという人は管轄のハローワークで直接ご確認ください。
当サイトJOBHUNTINGの管理人がハローワークに確認する限り、ハローワークによって診断書までは必要ない、入院などが証明できる領収書でもよいというところもあれば、ダメなような回答をするところもありました。よって、確認するさいは自分が提出する管轄のハローワークで確認するようにしてください。
委任状(本人以外が手続きする場合)
受給期間の延長手続きを自分自身で行えない場合は、第三者に依頼することができるのですが、その場合は委任状が必要になります。
委任状は特に決められたフォーマット等はなく、市販の便せんなどに『自分自身で手続きが行えない理由』、『委任する人(ご自身)の名前・住所』、『代理人の名前・住所』を記載し、ハンコを押していればそれで構いません。また、代理人が手続きする場合は、代理人の方の身分証明書が必要になります。
委任状のテンプレートを添付しておくので、よろしければ印刷してご利用ください。委任状は手書きで書くのが原則です。
失業保険の延長解除手続きの方法
失業保険の受給期限を延長した場合、延長中は失業保険を受給できないのですが延長を解除することで受給を再開することができます。
その延長を解除する方法を以下のページで詳しく解説しているので宜しければ参考にしてください。
受給期間延長を目的とした延長はNG
受給期間(給付日数)を増やすことを目的であえて長期の職業訓練を受講しようとする人が多いのが現状です。もちろんハローワークの職員も応募の際に応募理由をしっかりと確認し、職業訓練校側も面接時に意図を見抜こうとしますが完璧ではありません。
しかし、こういった行為は自分自身にも不利になるということを理解しておく必要があります。
今後、自分が転職活動するさいに受講した職業訓練と応募する業種が異なれば、応募企業の面接官もプロなので簡単に察知します。それを懸念して職業訓練のことを伏せていると今度は無職期間の長さが表面化し仕事に対する意欲がないと判断されます。
失業保険の受給期間は転職を成功させるためしっかりと有効活用するようにしましょう。
以下におすすめの転職サイトを紹介しているので是非、ご活用ください。