就業促進定着手当の申請漏れで10万円近いお金をもらい損ねている人が意外に多い!
このページを読んでくれている方は、おそらく『就業促進定着手当』の存在を知っている方なので問題なと思いますが、この手当の存在を知らないがために10万円近いお金をもらい損ねている人が非常に多いのです。
このページでは就業促進定着手当の受給条件や受給額、申請期限などについて詳しく解説しているので、もし、身近に該当する人がおられれば是非、教えてあげてください。
就業促進定着手当とは?
『就業促進定着手当』とは、簡単に言うと転職後の賃金が前職の賃金よりも下がってしまった人に支給される手当です。
ただし、単に賃金が下がっただけではこの手当を受給することができず、いくつかの条件を満たしている必要があります。その条件の詳細を次章で解説していきます。
就業促進定着手当の受給条件
就業促進定着手当を受給するための3つの条件です。すべてを満たしている必要があります。
就業促進定着手当の受給3条件
- 再就職手当を受給していること
- 転職してから同じ会社で6ヵ月以上雇用保険に加入し勤務し続けていること
- 所定の計算式で算出された転職後6ヵ月間の賃金の1日分の額が、前職の賃金日額よりも下回っていること
この3つの条件に関してもう少し詳しく解説していきます。
再就職手当を受給していること
失業保険の受給者はある一定の条件を満たして転職すると『再就職手当』を受給することができます。就業促進定着手当を受給するにはこの再就職手当も受給している必要があります。
全ての条件を満たすことができれば、『失業保険』、『再就職手当』、『就業促進定着手当』の3つが受給できるということになります。
再就職手当に関しては以下のページで詳しく解説しているので宜しければ参考にしてください。
転職してから同じ会社で6ヵ月以上雇用保険に加入し勤務し続けていること
再就職手当を受給し転職してから6ヵ月以上継続して同じ会社で働き続けている必要があります。また、転職先で雇用保険にも加入している必要があります。
そもそも再就職手当の受給条件に『1年を超えて働き続けることが確実なこと』、『転職先で雇用保険の被保険者になること』というのがあるので、再就職手当を受給している人であれば必然的にこの条件は満たせていることになると思います。
所定の計算式で算出された転職後6ヵ月間の賃金の1日分の額が、前職の賃金日額よりも下回っていること
転職後の賃金が転職前よりも下がったかどうかは以下の条件式が成り立っているかどうかで判断されます。詳しい計算方法や受給金額については次章で解説するのでそちらをご覧ください。
就業促進定着手当の受給額
就業促進定着手当の受給額は以下の計算式で求めることができます。
とは言え、計算式で使われている『転職前の賃金日額』って何?『転職後6カ月間の賃金の1日分の額』ってどうやってわかるの?と疑問を持つ人も多いと思います。
また、これらは上限額や下限額もあり少しややこしいため一つずつ詳しく解説していきたいと思います。
■目次
『転職前の賃金日額』とは?
転職前の賃金日額は、失業保険受給申請をしたさいに算出されており、『雇用保険受給資格者証』の表面の『14. 離職時賃金日額』の欄に記載されている金額がこれに該当します。
もし、雇用保険受給資格者証が手元に無くて分からないという場合は、前職の退職直前6ヵ月分の給与総支給額合計を求め180日(6ヵ月)で割ると『14. 離職時賃金日額』を求めることができます。ただし、ボーナスや退職金は含みません。
注意点が1点あります!
就業促進定着手当の受給額の計算で使用される『転職前の賃金日額』は上限額と下限額が設けられています。
上限額を超える場合は上限額が、下限額より低い場合は下限額が適用されます。その『転職前の賃金日額』の上限額と下限額は次の通りです。
※上限額と下限額は毎年8/1に見直されます。上の上限下限額は2018/8/1~2019/7/31の額です。
『転職後6カ月間の賃金の1日分の額』とは?
『転職後6カ月間の賃金の1日分の額』とは転職後6ヶ月間の給料総支給額の合計を180日(6ヵ月)で割って1日当たりの賃金額を算出したものです。ボーナス等は含みませんが、総支給額なので交通費や残業代は含みます。手取りではありません。
ただ、賃金が月給制なのか日給・時給制なのかによっても少し計算式が異なるので別々で解説します。
お給料が月給制の場合
お給料が月給制の場合は、前述した計算式で『転職後6カ月間の賃金の1日分の額』を求めます。
ただ、入社月は給料の締め日の関係上、給料は日割り計算される場合もあります。その場合は、その次の月から6ヶ月間の給料合計で計算します。
お給料が日給・時給制の場合
お給料が日給もしくは時給制の場合は、以下の(a)もしくは(b)の式で計算し金額が高くなる方を利用します。
※『賃金の支払い対象となった日の日数』とは、日給・時給制の場合は出勤日がこれに該当します。
『転職後6ヵ月間の賃金の支払い対象となった日の日数』とは?
『賃金の支払い対象となった日の日数』とは、日給・時給制の場合は、勤務日数がこれに該当します。月給制の場合は、その月の日数(30日や31日など)になります。
よって、『転職後6ヵ月間の賃金の支払い対象となった日の日数』とは日給・時給制の場合は、6ヶ月間の勤務日数合計、月給制の場合は6ヶ月間の日数(180日前後)になります。
就業促進定着手当の受給上限額
就業促進定着手当の受給額には残念ながら上限額が設定されています。この上限額もまた人によって異なり、以下の計算式で算出されます。
失業保険の受給日数をどれだけ残して再就職したのかや、再就職手当の給付率がどっちかだったかなども覚えておく必要があるので、少し面倒ですね。基本手当日額は、『雇用保険受給資格者証』にも記載されています。
給与が30万円から25万円に減った人の計算例
実際に以下の人を例として就業促進定着手当の金額がいくらになるか計算してみたいと思います。
対象人物
- [年齢]:32歳
- [基本手当日額]:5,712円
- [失業保険所定給付日数]:120日
- [再就職時の残給付日数]:90日
- [再就職手当の給付率]:70%
- [前職の退職直前6ヵ月の月給]:30万円
- [転職後6ヵ月の月給]:25万円
- [転職後6ヵ月の勤務月]:4月~9月
使用する計算式は下記。
転職前の賃金日額
雇用保険受給資格者証の『14. 離職時賃金日額』に記載されている額をそのまま利用するのが普通ですが、ここではあえて計算して求めます。
30万円x6ヵ月÷180日=10,000万円
既定の上限額以下、下限額以上におさまっているので『転職前の賃金日額』は10,000円で決定。上限額、下限額を知りたい人は『『転職前の賃金日額』とは?』の章を参照ください。
転職後6ヵ月間の賃金の1日分の額
転職後の月給が25万円なので、転職後6ヵ月間の賃金の1日分の額は次の通りです。
25万円x6ヵ月÷180日=8,333万円
転職後6ヵ月間の賃金の支払い対象となった日の日数
今回の例であれば4月から働きだしたので、対象月は4月~9月の6ヶ月間になります。
4月は30日
5月は31日
6月は30日
7月は31日
8月は31日
9月は30日
合計日数は、183日
受給額の計算
(10,000円-8,333円)x183日=305,061円
この305,061円が就業促進定着手当の受給上限額以内であれば、全額受給できることになります。
では、念のため今回の例の場合の就業促進定着手当の受給上限額も確認しておきます。
就業促進定着手当の受給上限額の計算
90日x5,712円x30%=154,224円
結果、上限額に引っかかってしまうため今回の例の人の場合、就業促進定着手当の受給額は154,224円となります。
就業促進定着手当の申請方法
就業促進定着手当は自ら申請する必要があります!
そして、転職して6ヵ月が経過し後に申請が可能となるため、『就業促進定着手当』の存在を忘れてしまって受給し損ねている人が非常に多いのが現状です。
以下に就業促進定着手当の申請期限や申請方法について記載しておくので参考にしてください。
申請期限
転職した日から6ヵ月が経過した日の翌日から2ヵ月以内
申請先
失業保険および再就職手当を受給申請を行ったハローワーク(郵送での申請も可能)
申請に必要な書類
申請に必要な書類
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 就職日から6ヶ月間の出勤簿の写し
- 就職日から6ヶ月間の給与明細
ただし、入社月の最初の給料が締め日の関係上、日割り計算された場合は、その次の月から6ヶ月間の出勤簿と給与明細を用意してください。
『就業促進定着手当支給申請書』は、『再就職手当』の支給決定通知書とともにハローワークから送られてきているはずですが、紛失している場合は管轄のハローワークに問い合わせしてください。