キャリアプランに関する質問は、『キャリアプランを教えてください』だけではない!
中途採用の面接ではこのキャリアプランに関する質問はよく聞かれることがあります。しかし、数ある質問の中ではどちらかというと答え難い質問の一つで、あらかじめ回答を考えておかないとその場ではなかなか良い回答が出てきません。
このページは転職面接でよく聞かれるキャリアプランに関する質問について正しい回答例や注意点について解説しているので是非、ご活用ください。
■目次
面接官がキャリアプランに関する質問をする理由とは?
面接官が面接質問でキャリアプランに関する質問をする意図は大きく分けて以下の4点があります。この4点をしっかりと意識して回答を考えるようにしてください。
質問の意図
- 応募企業が考えている方針や方向性と一致しているかを確認
- 応募企業についてのどのていど理解しているかを確認
- 会社に貢献できそうな人物かを確認
- 自分自身が明確な目標や方向性を持って取り組んでいるかを確認
この4点に関してもう少し具体的に内容を解説しておきたいと思います。
応募企業が考えている方針や方向性と一致しているかを確認
企業側とすれば採用すれば、あなたに長い間一緒に働き成長してもらいたいと考えています。しかし、あなたが考えている未来のキャリアプランが会社の方針や方向性と異なっていると、あなたはいずれ不満に感じ再び退職するリスクが高いことになります。よって、この面接の時点で会社の方針や方向性と一致しているかを確認しようとしています。
応募企業についてのどのていど理解しているかを確認
企業側とあなたが考える将来の方向性が一致しているかどうかの確認は先述した通りですが、企業側は企業のウェブサイトや応募要項などである程度、方針や方向性、求める人材像を公表しています。
応募者は当然、『応募する企業に興味を持っているはずなのだからその程度はしっかりと自分自身で確認し理解しているはずでしょ?』というのが企業側の考えとしてはあります。もし、公表しているにもかかわらず全く見当違いのキャリアプランを述べると、方針や方向性、求める人材像のミスマッチと思われるだけではなく、この人は本当に自社に興味を持っているのかと疑問に思われます。
会社に貢献できそうな人物かを確認
企業の本音は『あなたに長い間、働き続けて欲しい』ではなく『優秀な人材に長い間、働き続けて欲しい』です。よって、あなたが会社に貢献できる優秀な人材かどうか?もしくはそうなる可能性を秘めた人物なのかという点を確認します。
自分自身が明確な目標や方向性を持って取り組んでいるかを確認
ただ単に『社長になりたい』『No.1社員になりたい』など目標を言うだけであれば、単なる意欲だけであり現実味がありません。面接官は企業の方針や方向性とマッチしたキャリアプランを持っており、そしてそれに向けた具体的なステップや計画があり、実現可能かという点を確認します。要は夢物語のキャリアプランではないかどうかを確認します。
好印象な回答をするためのポイント
以下の流れで回答を考えていくと好印象の回答が考えやすくなります。
回答の考え方
- 企業の公式ウェブサイトを細かくチェック
- その企業での最終キャリアを考える
- 最終キャリアから逆算して5年or10年ごとのキャリアを考える
- STEP2,3を達成するための行動の詳細を考える
キャリアプランを面接のためだけに考える人が多いですが、会社の中でも優秀な人はたいてい自分のキャリアプランをしっかりと持っており、それに向けた行動目標を立てています。
この機会に面接のためだけではなく本気で自分自身の将来のキャリアプランを是非、立てるようにしてください。
STEP1.企業の公式ウェブサイトを細かくチェック
まずは、企業の考える方針や方向性とずれが発生しないように『どういった人物を欲しがっているのか』という点を企業の公式ウェブサイトから情報を収集します。
最もおすすめなのが既にその会社で働いている人の声を確認することです。
声を確認するといっても直接その人に会うわけではありません。企業のウェブサイトには『先輩からのメッセージ』や『働く社員の声』といったような既にその会社で働いている人の紹介をしていることがよくあります。
そこで紹介されている人はいわゆる会社の顔であり、会社側としても自信を持って紹介できる人物ということになります。
こういった人物を目標としてキャリアプランを立てると、会社の目指すところとも合致し、欲しい人材だと思わせることができます。
この他にも公式サイトには色々なところに情報が埋もれています。隅々まで確認するようにしましょう。
STEP2.その企業での最終キャリアを考える
自分が定年退職する直前にはその会社でどういった立ち位置になっていたいかをイメージしてください。
最終キャリアは面接の質問として聞かれることはまずありません。しかし、最終目標(ゴール)を決めずに途中の目標を決めても何を目指しているのか分からなくなります。
最終キャリアは面接の質問できかれることはないと言いましたが、『将来の夢を教えてください。』といった質問はよくされます。こういった質問に対する回答として最終キャリアを答えることもできます。
STEP3.最終キャリアから逆算して1年、5年、10年ごとのキャリアを考える
最終キャリアが決まればそれに向けた段階的なキャリア(目標)を考えていきます。たとえば、あなたが今32歳だとすれば以下の段階のキャリアを考えます。
- 65歳 定年
- ↓
- 62歳 最終キャリア
- ↓
- 52歳 20年後のキャリア(準最終キャリア)
- ↓
- 42歳 10年後のキャリア
- ↓
- 37歳 5年後のキャリア
- ↓
- 33歳 1年後のキャリア
- ↓
- 32歳 入社
考える最終キャリアは、62歳のときでも52歳のときでも構いません。
日本人の多くは50歳ごろで会社での役割や立ち位置がピークとなります。それ以降は現状維持になることが多いです。これは年齢的にさまざまなところに衰えが生じてくるので50歳以降に能力アップするのは難しいというのも原因の一つにあります。
そして、重要なのが1年後、5年後、10年後のキャリアプランです。
面接の質問では、『1年後の自分のビジョンを教えてください』や『5年後の自分のビジョンを教えてください』、『10年後の自分のビジョンを教えてください』と言った質問をされることがよくあります。
また、3年後や15年後なども聞かれることが稀にありますが、3年後を聞かれた場合は5年後の15年後を聞かれたときは20年後のキャリアプラン(準最終キャリア)を伝えれば構いません。
STEP4.STEP2,3を達成するための行動の詳細を考える
STEP2,3で最終キャリアと5年後、10年後のキャリアプランを考えましたが、最後にこのキャリアプランを達成するために何をする必要があるのかより具体的に行動詳細を考えていきます。
これは5年後、10年後のキャリアプランを聞かれたときにどのようにキャリアプランを実現するのかと言うのも合わせて伝えることでよく考えていると面接官に好印象を与えることができます。
キャリアプランに関する質問集と回答例
では、面接で実際に聞かれる可能性のあるキャリアプランに関する質問と回答例を紹介していきます。
■質問集
5年後のビジョンを教えてください。
『5年後には○○○になっていたいと考えております。』
これだけでは全くのNGです。
キャリアプラン(ビジョン)を聞かれたときの回答は以下の3つの構成で組み立てます。
回答の組み立て
- 5年後のビジョン(結論)
- なぜ、そう考えたのか?
- どうやって実現するのか?(具体的な行動や既に取り組んでいる点など)
『好印象な回答をするためのポイント』の章の『STEP3』と『STEP4』が考えられていれば回答を考えるのは難しくありません。
5年後のキャリアプランはそのまま伝えれば構いません。『なぜ、そう考えたのか?』に関しては『最終的なキャリアプランとして○○を考えているので5年後には○○になっている必要があると考えている』、そして『どうやって実現するのか?』に関してはSTEP4で考えている行動詳細を伝えればいいだけです。
『10年後のビジョンを教えてください。』と聞かれた場合も同様の考え方になります。
回答例文
段落ごとに『結論』⇒『理由』⇒『実現方法』の構成で回答例文を作っています。
【正しい回答例】
私は5年後には御社の自社開発製品○○○のプロジェクトチーム内で中心的な役割を担った人材になりたいと考えております。
理由は将来、御社が長年開発している自社製品以外にあらたな第二、第三の柱となる製品を提案し、それらの開発部門を束ねられる人材になっていたいと考えており、そのための第一ステップとしてこの5年後のキャリアプランを考えております。
そして、それらを実現するためにまずは関連する開発言語やマネージメント技術の習得に励んでいきます。また、新製品の開発は常に新しい情報に対してアンテナを張り巡らせておくことも重要なので、その点に関しては技術NEWSなどを日々チェックし、今からその癖付けを心がけております。
10年後この業界はどうなっていると思いますか?
これは自分自身のキャリアプランではなく業界自体がどうなっているのかと言う質問です。この質問の意図は主に以下の2点にあります。
質問の意図
- 自分が働きたい業界に対してどれだけ興味を持っているのか?
- 率先して情報を収集できているのか?
回答例文
家電メーカー企業の面接を受けている場合を想定した回答です。
段落ごとに『結論』⇒『そう考える理由』の構成で回答例文を作っています。
【正しい回答例】
家電製品のIT化が本格化していると考えております。
既に家電製品はIT化が始まっていますが、まだまだ一般家庭の普及率は低く、また家電製品同士のIT連動は少ない状況にあります。しかし、10年後にはIPv6環境が世の中に完全に浸透し、一般家庭の家電IT化も普及し、すべての家電が外出先から管理や遠隔操作ができる時代になっていると思います。
考えている今後のキャリアプランを教えてください。
今後とはいつのことなのか?1年後?5年後?10年後?
今後のキャリアプランとは最終キャリアに向けたプランだと考えれば良いかと思います。回答の考え方は、『5年後のビジョンを教えてください。』の質問と同じです。違いは何年後のキャリアプランか指定されていないという点だけです。
では実際に『5年後のビジョンを教えてください。』の質問の回答を応用して以下に回答例を紹介していきます。
回答例文
段落ごとに『結論』⇒『実現方法』の構成で回答例文を作っています。
【正しい回答例】
私は将来、御社が長年開発している自社製品以外にあらたな第二、第三の柱となる製品を提案し、それらの開発部門を束ねられる人材になっていたいと考えています。
それに向けてまずは、御社の自社開発製品○○○のプロジェクトチーム内で中心的な役割を担った人材になれるように関連する開発言語やマネージメント技術の習得に励んでいきます。また、新製品の開発は常に新しい情報に対してアンテナを張り巡らせておくことも重要なので、その点に関しては技術NEWSなどを日々チェックし、今からその癖付けを心がけております。
どうでしょうか?
回答内容としては、『5年後のビジョンを教えてください。』と同じです。このようにSTEP2,3,4をしっかりと考えておけばキャリアプランに関してどんな質問をされても答えることができるようになります。
将来の夢を教えてください。
将来の夢は、『STEP2.その企業での最終キャリアを考える』で考えた最終キャリアが該当します。最終キャリアは将来の夢に置き換えて考えることができます。
『将来の夢』=『最終キャリア』
間違える人はいないと思いますが、ここで聞かれる将来の夢とはあくまで仕事に対する夢であり、プライベートな夢ではないので間違えないようにしてください。もし、プライベートの夢を語るのであれば、それが仕事にどう影響あるのかをしっかりと伝えるようにしてください。プライベートの夢を語って終わりにならないようにしましょう。
よって、回答内容は実は『考えている今後のキャリアプランを教えてください。』やの質問の回答と全く同じになります。
回答例文
段落ごとに『結論』⇒『実現方法』の構成で回答例文を作っています。
【正しい回答例】
私は将来、御社が長年開発している自社製品以外にあらたな第二、第三の柱となる製品を提案し、それらの開発部門を束ねられる人材になっていたいと考えています。
それに向けてまずは、御社の自社開発製品○○○のプロジェクトチーム内で中心的な役割を担った人材になれるように関連する開発言語やマネージメント技術の習得に励んでいきます。また、新製品の開発は常に新しい情報に対してアンテナを張り巡らせておくことも重要なので、その点に関しては技術NEWSなどを日々チェックし、今からその癖付けを心がけております。
どうでしょうか?
回答内容は『考えている今後のキャリアプランを教えてください。』の質問と全く同じですが違和感ないですよね。
なぜ、これまでと違う業種を選んだのですか?
これまでと違う業種や職種の企業に応募している人はこの質問をされる可能性があります。
面接官がこの質問をする意図は以下の3点です。
質問の意図
- 単純に理由が知りたい
- 新しい業種・職種で本当にやっていけるか見抜くため
- 安易な気持ちで応募していないか確認するため(本人のやる気や意欲を確認するため)
やはりこれまで経験のない業種・職種に携わるということは、今まで以上に本人の頑張りや努力が必要になってきます。『単にやりたいから』という理由だけでは成長しないだけではなく、長続きもしない要因となります。
よって、この質問により本人の本気度や将来のキャリアプランをどのように考えているのかを確認したいというのが面接官の主な目的になります。
回答例文
段落ごとに『結論』⇒『結論の根拠』の構成で回答例文を作っています。
【正しい回答例】
以前からIT業界に興味があり、ソフトウェア開発に携わりたいという強い思いがあったからです。
前職は自動車関連の会社に勤めていたのですが、趣味でパソコンを使うようになり徐々にIT業界に興味を持つようになってきました。これまでは独学で開発手法や開発言語を学び小さなアプリケーションを自分で作ったりしながら転職の機会をうかがっていました。しかし、IT業界の中途採用は経験者で即戦力を求められることが多く、なかなか転職のチャンスがなかったのですが、根気よく探し続けているときに御社の未経験者歓迎の募集を見つけ転職するに至りました。
異業種への転職理由は単純に『興味があったから』という理由ですが、独学で勉強したり根気よく会社を探しチャンスをうかがっており、本人のやる気や熱意が伝わる内容になっていると思います。
おすすめの質問対策方法
キャリアプランを考えるのは、面接のためだけではなく自分自身の今後のキャリアアップにも必要不可欠です。これを機会にしっかりと自分の将来を考えるようにしましょう。
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