ハローワークと転職エージェントとでは何が違うのか?どっちを使ったらいいのか?
転職エージェントって使う必要あるの?
ハローワークも同じように求人検索したり求人を紹介してくれるのだからハローワークでもいいんじゃないの?
このように考える人も少なくありません。そこで、このページではハローワークと転職エージェントの違い、どっちを使った方が転職活動を有利に進めることができるのかといった点について解説していきます。
■目次
ハローワークと転職エージェントに違い(総合比較)
ハローワークと転職エージェントの違いを総合的に下表に比較してみました。
ハローワーク | 転職エージェント | |
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求人企業の量 | 非常に多い | 多い |
求人企業の特徴と質 | 中小企業の中でも特に小規模な企業が多い。求人の質は平均的にやや低い。 | 大中小企業のなかでも特に大中企業が多い。求人の質は平均的に高い。 |
サポート力 | 普通 | 非常に高い |
応募のしやすさ | しやすい | しやすい |
採用されやすさ | 採用率は普通 | 採用率は高い |
年収アップ率 | 低い | 高い |
求人企業の量
求人件数は圧倒的にハローワークが多く常時約100万件以上の求人が取り扱われています。転職エージェント側は転職エージェント会社にもよりますが、1/10の約10万件程度です。
ここまで差がある大きな要因の1つとしては、求人会社が求人掲載を出してもらうにあたり、転職エージェント側は有料なのに対してハローワークは無料で求人掲載してもらえるというのがあります。小規模な企業で予算もあまり確保できない企業は、求人の方にお金をかけられないため無料で掲載してもらえるハローワークの存在はありがたいのです。
ただ、それによる弊害が次章に記載する求人企業の特徴と質にあらわれてきます。
求人企業の特徴と質
ハローワークの求人の質は平均的に低くブラック企業も多いとよく言われます。
ハローワークは転職エージェントと違い、求人掲載料がかかりません。そのため、基本的にはどんな企業でもハローワークに求人情報を出すことができます。これが求人の質を下げている大きな理由の1つになっている可能性があります。それに対して、転職エージェントは求人会社が求人掲載料もしくは内定決定報酬を支払って求人を掲載しています。決して安くはない金額なので経営状況の悪い企業やブラック企業が求人を掲載するには敷居が高くなるため、転職エージェントの取り扱い企業は必然的に質が高くなるのです。
※ブラック企業に関しては、『ハローワークの求人はブラック企業が多いって本当?』の章で詳しく解説しているので参考にしてください。
取り扱っている求人の企業規模については、詳細な統計を取っていないので具体的な数値や割合を記載することができませんが、下図のような割合になっており、ハローワークは小企業およびそれより小さな零細企業の割合が多い傾向にあります。それに対して、転職エージェントが取り扱っている企業は大中企業が大きな割合を占めています。
サポート力
転職エージェントもハローワークもどちらも転職活動のサポートをしてくれます。しかし、そのサポート内容には大きな差があります。下表は、それぞれの主なサポート内容です。
ハローワーク | 転職エージェント |
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更にコンサルタントの意識の違いもあります。ハローワークのコンサルタントは、どちらかというと言い方が悪いですがただ単に求人を紹介し、簡単なアドバイスをする程度のお役所仕事です。求職者が転職に成功しようが失敗しようが関係ないのです。(もちろん親身になってなんとか転職をさせようと必死にサポートしてくれる人もおられます。)
しかし、転職エージェントは求職者が内定して始めて求人企業から報酬が得られるため、何とか求職者に内定を取ってもらいたいと全力でサポートしてくれます。それがまさに上表のサポート内容の差に出ているのです。
応募のしやすさ
応募のしやすさはハローワークの求人も転職エージェントの求人も変わりません。利用する転職エージェントによっては、代理で履歴書や職務経歴書を作成してくれることがあり、応募の手間を軽減することもできますが、履歴書や職務経歴書は他人に作成してもらうのではなく自分自身を見直しながら自分で作成するに越したことはありません。
採用されやすさ
転職エージェントを利用する方が圧倒的に内定率が高いです。その理由はなんといってもコンサルタントの『サポート力』にあります。転職エージェントのコンサルタントは内定を勝ち取るために多くのサポートをするだけではなく、企業の人事に対しても直接推薦してくれるためより一層内定をもらえる可能性が高くなります。
ハローワークは条件の悪い企業は内定が出やすいですが、条件の良い企業はどうしても内定を取るのが難しくなります。
年収アップ率
年収アップ率は圧倒的に転職エージェントを利用した方が高いです。転職エージェントによっては、利用者の約8割もの人が以前の会社よりも年収がアップしたという統計結果が出されています。その理由の1つとして、転職エージェントのコンサルタントが企業と直接年収交渉をしてくれるという点にあると思います。
ハローワークはあくまで求職者のサポートだけで、企業との調整や交渉は一切行ってくれません。個人で転職活動する場合もやはり年収交渉なんてできないですよね。
ハローワークのメリットとデメリット
ハローワークを利用するメリットとデメリットを下表にまとめておきます。
メリット | デメリット |
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転職エージェントのメリットとデメリット
転職エージェントを利用する場合のメリットとデメリットを下表にまとめておきます。
メリット | デメリット |
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ハローワークの求人はブラック企業が多いって本当?
ハローワークの求人にはブラック企業が多いって聞いたことはありませんか?
ハローワークを管轄している厚生労働省はブラック企業対策を実施しており、『給料未払い』や『法定時間を超えた労働』など違法行為を行っている企業はハローワークの求人に掲載できないようになっているので、ブラック企業と認定されている企業が掲載されていることは無いと思って構いません。
しかし、認定されていない限りなくブラックに近い企業は多く掲載されている可能性はあります。実際に選別しているわけではないので、定かではありませんが、ブラック傾向にある企業が多くなり得る理由はあります。
ブラック企業が多くなる理由
- 求人広告掲載料が無料
- コンサルタントがお役所仕事
- 求職者の質もあまり高くない
求人広告掲載料が無料
企業が転職エージェントに求人情報を載せる場合、掲載費や内定報酬を転職エージェントに支払う必要があります。そのため転職エージェントにはお金を出してでも良い求職者を探したいという企業が集まります。当然、そこにお金をかけられるだけの余力のある大中企業や、お金を出し惜しみしない企業だとも言えます。
それに対してハローワークは、無料で求人情報を掲載することができます。そのため、経営の厳しい企業や金銭的に出し惜しみする企業でも掲載しようと思えばできるのです。
コンサルタントがお役所仕事
ハローワークのコンサルタントは求職者に仕事を紹介するのが主な業務です。悪い言い方をすると求職者に仕事を紹介して仕事に就いてくれさえすればいいのです。重要なのは就職率のアップだけなのです。求職者の年収が下がって転職に失敗したと感じようが関係ありません。よって、ブラック気味の企業でも就職できそうな求人があれば進められる可能性があります。その結果、必然的にハローワークを利用した人がブラック企業が多いと感じる原因の一つとなっています。
求職者の質もあまり高くない
ハローワークには様々な人がきます。何年もニートをしていた人もいれば、職を転々としている人など様々です。そのため、世間的な目から見て『ハローワークに来ている人』=『あまり仕事ができない人』という印象が強くなっています。(実際はそんなことなく、有能な人も多く利用しています)
企業側もハローワークに対してこの悪い印象を持っているところが多く、ハローワークに求人を出しても良い人材が見つからない、求職者を面談する工数が無駄に増えるといった理由でハローワークに求人を出さない企業も多いです。これは優良企業の求人件数が減り、ブラック系企業の割合が増える原因の一つとなっています。
結局、ハローワークと転職エージェントのどっちがいいの?
どっちかを利用するではなく、併用するのがベター!
転職エージェントを使った方が求人の質が良く、サポートも充実しているので転職成功率や年収アップ率など良い結果につながる可能性が高くなるのは間違いありません。しかし、ハローワークは転職エージェントの10倍程度の求人件数をかかえており、地元の求人にも強いといった強みを持っています。このようにハローワークと転職エージェントは同じような役割を担っていますが、違った特性も持っているので転職活動を効率的に進めるには両方を併用するのがおすすめです。