失業保険受給中にアルバイト

失業保険の給付制限中や受給中は本当にアルバイトしてはダメなの?見つかるとどうなるの?

転職活動中は預貯金が少ないとどうしても金銭的に厳しくなり、アルバイトなどでの収入が必要になってくる場合がありますよね。特に失業保険の受給が開始していない給付制限中は厳しいです。

そこで、このページでは失業保険の給付制限中や受給中にアルバイトなどで収入を得ても構わないのか?もし、ダメな場合、見つかると失業保険の受給資格を失うなどの罰則はあるのかなどについて解説しています。

アルバイトしてもよい期間とダメな期間

失業保険を受給するにあたりアルバイトをしてもよい期間とダメな期間というのがあります。期間は大きく分けて以下の4つに分類されます。

アルバイトをしてもよい期間

それでは各期間ごとにわけて解説していきます。

①求職申込み前のアルバイト

無条件でアルバイトは可能です。

ハローワークに求職の申し込みをする前なのであなたがアルバイトをしてガッツリ稼いでも全く問題ありません。勤務時間や勤務日数に制約はなく、申告の必要もありません。

②待期期間中のアルバイト

アルバイト禁止期間です。

この待期期間は失業状態であることを確認するための期間でもあるため原則アルバイト禁止です。

ただ、正確に言うと禁止ではなくハローワークに申告すればアルバイトは可能です。その場合、アルバイトした期間分だけ7日間の待期期間が延長されることになります。受給額が減額されるようなことはありません。

絶対やってはダメなのが無申告でのアルバイトです。無申告でアルバイトを行った場合、不正受給と見なされ『不正受給(無断アルバイト)がバレた場合の罰則』の章に記載している罰則が適用されます。

アルバイトの申告は通常は認定日に行うのですが、待期期間中にアルバイトを行う場合は待期期間終了までに申告するようにしてください。

③給付制限中のアルバイト

アルバイトは可能ですが、認定日に申告が必要。

給付制限中の3ヶ月間は失業保険の給付がなく無収入で生活が厳しくなることもあるためアルバイトは認められています。

また、失業保険受給中のアルバイトは受給額が減額されたり、先送りにされたりすることがありますが、給付制限中は減額や先送りはありません。

しかし、アルバイトの労働時間や労働日数によっては『就職』したとみなされる場合があり、失業保険の受給ができなくなることがあるので注意してください。どういった場合に『就職』と見なされるかについては『アルバイトの勤務時間と勤務日数の注意点』の章に記載しているので参考にしてください。

給付制限中にアルバイトをする場合、労働時間や日数、収入に関係なく次の失業認定のさいに『失業認定申告書』に記載して申告する必要があります。ただ、3ヵ月の給付制限中は最初の月に1度だけ失業認定があるだけで、その次の失業認定は給付制限解除後となります。最初の失業認定以降にアルバイトをした場合は、給付制限解除後の失業認定で申告するようにしてください。

給付制限中のアルバイトの申告

④受給中のアルバイト

アルバイトは可能ですが、認定日に申告が必要。

失業保険を受給中にアルバイトをすることは可能ですが、次回認定日のさいに『失業認定申告書』に記載して申告する必要があります。

また、受給中のアルバイトは『労働時間』、『労働日数』、『収入額』によって失業保険の受給に影響してきます。影響内容としては以下の4種類のいずれかに分類されます。

失業保険受給への影響

  1. 受給に全く影響がない
  2. 受給額が減額される
  3. 受給が先送りされる
  4. 受給が停止される

具体的にどういった場合に上記4種類のいずれに該当するのかについては、『失業保険受給への影響』の章で詳しく解説しているので参考にしてください。

まとめ

アルバイトによる失業保険の受給への影響

どれだけアルバイトすると受給への影響があるのかについては、『アルバイトの勤務時間と勤務日数の注意点』の章を、就職したのと同様の扱いにされる条件については『失業保険受給への影響』の章をご覧ください。

アルバイトの勤務時間と勤務日数の注意点

アルバイトをするさいの注意点が1つだけあります。

それは、『就職』扱いにならない範囲で行うということです。

アルバイトであっても一定の『勤務時間』と『勤務日数』を超えると就職したという扱いになり失業保険の受給が停止となります。これは賃金の多い少ないには関係ありません。

では、どれだけ実施したら就職扱いになるのか?

就職扱いになる基準として以下の基準が設けられています。
他にもありますが、おそらく普通の人が該当するケースは以下のどちらかの場合がほとんどです。

就職扱いになる基準

  1. 雇用保険の被保険者となる場合
  2. 契約期間が7日以上で週の労働時間が20時間以上、かつ、週の労働日数が4日以上の場合

注意しなければならない点としては、ネット上の多くの情報は1の『雇用保険の被保険者となる場合』方しか記載していないという点です。

しかし、重要なのは実は2の方なのです。1の条件よりも2の条件の方が厳しいからです。

1の『雇用保険の被保険者となる場合』の具体的な条件も記載するので比較してみてください。

雇用保険の被保険者となる条件は次の2点で、この2点の両方を満たしている場合、雇い主は労働者を雇用保険に加入させる義務が発生します。

雇用保険の加入条件

  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる場合(期間に定めがない場合も該当する)
  • 1週間の労働時間が20時間以上の場合

※どちらか一方ではなく両方を見たいしている必要があります。

この条件は目にしたことのある人も多いかと思いますが、どうでしょうか?

さきほどの2の『契約期間が7日以上で週の労働時間が20時間以上、かつ、週の労働日数が4日以上の場合』方が厳しいですよね?

契約期間が30日以内でも就職した扱になる場合があるということです。

ただ、『雇用保険の加入条件』の方は法令で定められているのに対して、『契約期間が7日以上で週の労働時間が20時間以上、かつ、週の労働日数が4日以上の場合』の方はハローワークが設けている基準なのでハロワークの判断で変わる可能性があります。

アルバイトするさいには必ず管轄のハローワークで確認するようにしてください。

失業保険受給への影響

ここで記載する受給への影響は失業保険受給中にアルバイトをした場合です。

待期期間中や給付制限中にアルバイトした場合の影響は、『待期期間中のアルバイト』、『給付制限中のアルバイト』の章に記載しているのでそちらを参考にしてください。

受給に全く影響がないケース

失業保険の受給中にアルバイトをしても全く影響のないケースは以下に該当する場合です。

受給に全く影響がない条件

1日の労働時間が4時間未満で得た1日分の収入が規定の計算式で算出して基準値以下だった場合

既定の計算式は以下の式になります。
以下の式を満たしている場合、失業保険の受給額が減額されたり先送りされたりするようなことはありません。

受給額の減額計算式

もう少し分かりやすく言うと、失業保険の受給額に影響しないようにアルバイト1日で稼いでもよい金額は、以下の計算で求めた金額以下にする必要があるということです。

アルバイトで得てもよい金額

実際の計算例

退職直前6ヵ月の平均給料総額:22万円
前職の賃金日額:???
基本手当日額:5,149円
控除額:1,294円

上記のような人の場合、アルバイトで稼いでもよい1日の金額はいくらか実際に計算してみます。

『基本手当日額』は、『雇用保険受給資格者証』に記載されています。自分自身で計算されたい方は、自動計算ツール『失業保険受給期間と受給額【自動計算】』をご利用ください。

前職の賃金日額
 =退職直前6ヵ月の給与総額÷180日
 =22万x6ヵ月÷180日
 =7,333円

受給額が減額や先送りされないように稼げる額は?

前職の賃金日額×0.8-(基本手当日額-控除額)

7,333円x0.8-(5,149円-1,294円)=2,011円

たったの2,011円!

そう、失業保険受給中にアルバイトをした場合、受給額が減額や先送りされないように1日で稼げる額は、たったの2,011円なのです。上記は例ですが、ほとんどの人が近い金額になるはずです。

ただ、忘れてはいけないのが、『受給に全く影響がない条件』の欄に記載した通り、『4時間未満の労働』です。4時間以上の労働は、『受給が先送りされるケース』もしくは『受給が停止されるケース』に該当するのでそちらの章を参照してください。

受給額が減額されるケース

失業保険の受給中にアルバイトをして受給額が減額されるのは以下のようなケースのときです。

受給額が減額される条件

1日の労働時間が4時間未満で得た1日分の収入が規定の計算式で算出して基準値以上だった場合

既定の計算式は以下の式になります。
アルバイト1日分の収入が次の計算式以上の額になると失業保険の受給額が減額されます。

受給額が減額される場合の計算式

もう少し分かりやすく言うと、1日4時間未満のアルバイトで次の計算で求めた金額以上に収入があると受給額が減額されます。減額される額は、下記計算式で求めた金額と実際にアルバイトで得た収入との差分です。

受給額が減額される計算式

実際の計算例

退職直前6ヵ月の平均給料総額:22万円
前職の賃金日額:???
基本手当日額:5,149円
控除額:1,294円

上記のような人の場合、アルバイトでどのくらい稼ぐと減額されるのか実際に計算してみます。

『基本手当日額』は、『雇用保険受給資格者証』に記載されています。自分自身で計算されたい方は、自動計算ツール『失業保険受給期間と受給額【自動計算】』をご利用ください。

前職の賃金日額
 =退職直前6ヵ月の給与総額÷180日
 =22万x6ヵ月÷180日
 =7,333円

アルバイトの収入がこの金額を超えると減額される!

前職の賃金日額×0.8-(基本手当日額-控除額)

7,333円x0.8-(5,149円-1,294円)=2,011円

受給額から減額される額は?

もし、あなたがアルバイトで1日に2,011円以上の収入を得た場合、差額分が受給額から減額されることになります。

たとえば、アルバイトで1日3,000円の収入があった場合、差額の989円(3,000円-2,011円)が失業保険の受給額から減額されます。

受給が先送りされるケース

失業保険の受給中にアルバイトをして収入が以下の条件を満たしていると、その収入があった日は受給の対象外日となり対象外日に受給できるはずだった分は先送りされます。

受給が先送りされる条件

1日の労働時間が4時間以上の場合

次回の失業認定後の受給日に限ってはその日数分だけ受給額が減りますが、対象外日となった日数分の受給は先送りされただけであり、給付日数が減ったわけではないのでトータルの受給額が減るわけではありません。

受給が先送りされるケース

受給が停止されるケース

アルバイトの勤務形態が一定の勤務日数と勤務時間を超えるとアルバイトであっても就職したという扱いになります。収入の多い少ないには関係ありません。

受給が停止されるのは、この『就職した』と見なされた場合です。

よって、失業保険の受給がストップされないようにするにはアルバイトの勤務日数と勤務時間を就職扱いにならない程度におさえることが重要になってきます。

どの程度、実施した場合、就職した扱いになるのかは『アルバイトの勤務時間と勤務日数の注意点』の章で詳しく解説しているのでそちらを参考にしてください。

不正受給となる典型的な例

失業保険の不正受給となる典型的な例は、『アルバイトしたにもかかわらず申告しない』です。

申告しない人の大半は正しい知識を持っておらず、アルバイトをしたら『受給額が大きく減額される』、『受給がストップされる』と思い込んでいるのです。

しかし、『失業保険受給への影響』の章で解説した通り、1日4時間未満の労働で少額収入であれば大きく減額されることはありません。そもそも4時間未満なので多額の収入を得ることは難しいですよね?

逆に1日4時間以上労働した場合は、減額されずに受給が先送りされるだけです。(『就職した扱いにならない基準』は満たす必要はある)

これを知らずに申告せずバレたときのリスクの方がはるかに大きいです。

他にもどういった場合が不正受給に該当するかについては以下のページで詳しく解説しているので宜しければ参考にしてください。

不正受給(無断アルバイト)がバレた場合の罰則

不正受給がバレた場合、『失業保険受給の停止』や『受給済み金額の返還』、『罰則金』などかなり厳しい罰則が待っています。

罰則については以下のページでも詳しく解説しているので宜しければ参考にしてください。

アルバイトする場合は正しい手続きをする

アルバイトをした場合は、次回の失業認定日にハローワークに行ったとき、『失業認定申告書』に記載するのみです。特に事前申告等は不要です。

『失業認定申告書』に記載するさい、『アルバイトをした日』と『収入額』の情報が必要になるので、ハローワークに行く前に確認するようにしてください。

できるだけ早く再就職するための秘訣

失業保険を全額受給してから就職しようと考える人がおられますが、結果的に損をする可能性が非常に高くなります。

たしかに働かずしてお金が入ってくるのだからこれだけ楽なことはありません。

しかし、長期間無職状態が続くと確実に就職が不利になってきます。面接官もプロなので、3ヶ月以上無職状態が空いていると、『この人は失業保険を受給し終えるまでゆっくりしていた労働意欲のない人だな』と察します。

その結果、良い条件の会社に就職が困難になり、条件の悪い会社に就職する可能性が高くなります。そうすると給与が低くなるばかりではなく更に労働意欲がなくなり転職を繰り返し負のスパイラルに陥ってしまうのです。

一時的な目の前のお金にだまされるのではなく、先をしっかりと見つめ転職活動を行うようにしてください。以下におすすめの転職サイトを紹介しているので是非、上手に活用してください。