自己都合退職を会社都合退職に変更する方法

離職票に記載された退職理由を退職後に変更できること知っていますか?

退職時に自己都合の理由で退職したが後から会社都合に変更したいという人が多くおられます。このページでは退職理由の変更方法と変更できるケース、できないケースについて解説しています。

自己都合から会社都合へ退職理由を変更できる2つのタイミング

退職理由を自己都合から会社都合へ変更するタイミングは以下の2回あります。退職理由を変更したい場合は、このどちらかのタイミングで変更するようにしてください。

退職理由を変更できるタイミング

  • 退職時、会社が作成した離職証明書に署名、捺印するとき
  • 退職後、離職票をハローワークに提出するとき

退職理由を変更できるタイミング

この2つのタイミングについて詳しく解説する前に、退職理由が正式決定するまでの流れについて解説しておきたいと思います。

2つのタイミングの詳細解説が先に知りたいという方は『退職理由が変更できる2つのタイミングの解説』の章をご覧ください。

退職理由が正式決定するまでの流れ

退職理由が正式決定するまでの流れ

①離職者にヒアリング後、離職証明書を作成

会社は離職者に退職理由などを確認し、『離職証明書』を作成します。この離職証明書は3枚つづりになっており、3枚目に退職理由が記載されます。退職理由の記入欄は会社記入欄と離職者記入欄の2ヵ所がありますが、このとき記載されるのは会社記入欄のみです。離職者の記入欄は④~⑤の間で記載します。

離職者は、会社が作成したこの3枚つづりの離職証明書を確認し署名と捺印をします。記載されている退職理由はこのとき確認し、異議があれば変更してもらうように申し出てください。ただし、この時点で離職者が既に退職済みの場合は、離職者の確認、署名、捺印無しでハローワークへ提出されます。

②離職証明書をハローワークへ提出

3枚つづりの離職証明は離職者が退職した後、10日以内に会社がある所在地を管轄しているハローワークへ提出されます。(支店に勤務している場合は努めている支店の地域を管轄しているハローワークです。本社ではない。)

③ハローワークが会社へ離職票を発行

ハローワークが離職証明書の内容を確認し、離職票を発行します。実は3枚つづりになっていて退職理由を確認し署名、捺印した離職証明書の3枚目が『離職票-2』なのです。2枚目はハローワーク保管で1枚目は会社保管となるため、1枚目と3枚目(離職票-2)が会社に返送されます。

④会社が離職者に離職票を郵送

この時点で離職者は退職済みとなっているので、会社はハローワークから受け取った離職証明書の3枚目(離職票-2)を離職者へ郵送します。『離職票-2』以外に『離職票-1』や『退職証明書』もあわせてこの時に送られてきます。

※補足注意点
『離職票-1』、『離職票-2』、『退職証明書』は退職者全員に郵送する会社もありますが、必須ではないため事前に申し出をしておかないと送ってくれない会社もあります。もし、必要な場合は退職時に必ず会社に伝えるようにしてください。

⑤離職者がハローワークに離職票を提出

自分が住んでいる地域を管轄しているハローワークで失業保険の受給申請をするさいに、会社から受け取った『離職票-1』、『離職票-2』を提出します。

このとき『離職票-2』の退職理由の自己記入欄を記載します。基本的には①で退職前に会社で確認した退職理由から変更はないはずですが、もし、変更する場合はここで申請したい退職理由を記載し、『事業主が◯を付けた離職理由に異議』の欄を『有り』に丸をし、ハローワークへ提出するようにしてください。

⑥ハローワークが離職票の内容を確認

ハローワークが提出された離職票の内容を確認し、問題なければ受理されます。会社が記載した離職理由に異議がある場合は、意義の内容を確認し適切であれば変更を受け付けてくれます。

退職理由が変更できる2つのタイミングの解説

自己都合退職から会社都合退職へ変更できるタイミングは以下の2回あります。

退職理由を変更できるタイミング

  • ①退職時、会社が作成した離職証明書に署名、捺印するとき
  • ⑤退職後、離職票をハローワークに提出するとき

退職理由を変更できるタイミング

変更できるタイミングは2回ありますが、退職を申し出て即日退職したは場合は『①退職時、会社が作成した離職証明書に署名、捺印するとき』のタイミングのときには既に退職済みとなっている可能性もあります。その場合は、変更できるタイミングは『⑤退職後、離職票をハローワークに提出するとき』の1回のみとなります。

①退職時、会社が作成した離職証明書に署名、捺印するとき

離職者は、会社が作成した3枚つづりの離職証明書を確認し署名と捺印をします。退職理由はこのとき3枚つづりの3枚目に記載されており、確認し異議があれば変更してもらうように申し出てください。

⑤退職後、離職票をハローワークに提出するとき

『離職票-2』を提出するさいに離職者が記入する『具体的事情記載欄』に自己都合ではなく会社都合である旨の理由を記載し、事業主が記載した離職理由に異議有りに丸を付けて提出してください。

退職理由の変更

自己都合から会社都合へ変更するための手続き方法

『①退職時、会社が作成した離職証明書に署名、捺印するとき』のタイミングで変更する場合は、離職証明書を作成している会社の担当者へ変更して欲しい旨を伝え変更してもらうだけです。

ただ、自己都合ではなく会社都合であることを会社が納得せず変更に応じてくれない場合は、『⑤退職後、離職票をハローワークに提出するとき』のタイミングで変更することになります。このとき必要な作業としては提出する離職票の離職者が記入する『具体的事情記載欄』に自己都合ではなく会社都合である旨の理由を記載し、事業主が記載した離職理由に異議有りに丸を付けて提出します。

退職理由の変更

そうすると、離職票を受領したハローワーク側が離職者の言い分が正しいと判断されれば自己都合から会社都合へ変更してくれます。

ただし、自己都合から会社都合へ変更する場合、それを証明するものが必要になります。

自己都合から会社都合へ変更するには証明できるものが必要

『⑤退職後、離職票をハローワークに提出するとき』のタイミングで退職理由を自己都合から会社都合へ変更したい場合、会社都合であることを証明できる物の提出を求められることがあります。

証明できるものは退職理由によって異なってきますが、パワハラが原因で退職に追い込まれた場合であれば以下のようなものが証明するものになります。ただ、いずれも退職前に集めておかなければならない物が多いので、会社都合に変えたい人は退職前に集めておくようにしてください。

証明できるもの

  • パワハラにあってるときの録音
  • パワハラメール
  • 医師の診断書
  • パワハラを受けた内容の日記
  • 同僚の証言

パワハラ以外でこういった退職理由のときどういった証拠が必要か分からないというときは、ハローワークに問い合わせればアドバイスしてくれます。

自己都合から会社都合へ変更できるケースとできないケース

すでに何度も解説している通り、自己都合から会社都合へ変更できるタイミングは以下の2回あります。

退職理由を変更できるタイミング

  • ①退職時、会社が作成した離職証明書に署名、捺印するとき
  • ⑤退職後、離職票をハローワークに提出するとき

『①退職時、会社が作成した離職証明書に署名、捺印するとき』のタイミングの場合、会社と話し合い会社が納得すれば会社都合に変更することができます。

しかし、会社が納得せず強引に自己都合退職にされた場合は、『⑤退職後、離職票をハローワークに提出するとき』のタイミングで変更することになるのですが、このタイミングで変更する場合は『自分が退職した理由は会社側にある』ということを証明できるものが必要になります。また、証明できるものがない場合、勤めていた会社に事実確認の調査が入る場合もあります。

証明できるものがないと、失業保険の給付日数を増やしたり、保険料の減額などを目的としてウソを付く人との判別ができないからです。

よって、本当に会社都合で退職した場合であっても証明できなければ会社都合に変更してもらえない可能性もあります。会社に対して『自己都合ではなくて会社都合です』と言い難い、もしくは言えないという人は、退職前にハローワークの職員の方に相談しつつ証拠集めをするのが一番確実に変更できるかと思います。

会社都合となり得る退職理由

会社都合となり得る退職理由は、『離職理由コード別、離職理由』で記載している離職理由コード『11(1A)』、『12(1B)』、『21(2A)』、『22(2B)』、『31(3A)』、『32(3B)』に該当する場合で以下のようなケースです。

会社都合になり得るケース

  • 勤めている会社が倒産した
  • 会社が事業縮小するにあたり1ヶ月で30名以上、または労働者の1/3以上の離職者がでた
  • 会社が通勤困難な場所へ移転となり働くことができなくなった
  • 自分の意思に反した転勤要請により引っ越しを余儀なくされた
  • 労働契約の不一致(労働契約と実際の内容とが大きく異なっている)
  • 賃金の未払い(2ヶ月連続して本来の賃金の1/3以下しか支払われない)
  • 賃金の急激な低下(85%未満に低下もしくは低下することになった場合)
  • 残業過多(退職直前3ヶ月間の残業時間が毎月45時間を超えていた)
  • 自分が希望していない職種へ変更された(窓際に追い込まれた場合も含む)
  • 雇用契約の契約期間内なのに契約が更新されなかった
  • 上司や同僚からのパワハラやセクハラ、嫌がらせ
  • 会社側の都合により3ヶ月以上休業が継続している
  • 会社が何らかの法令違反を犯している
  • 希望退職など会社側から退職を促す働きかけがあった
  • 業務内容が健康を害する内容

自己都合と会社都合とでは色々な面で大きな違いがでてくる!

自己都合退職した場合と会社都合退職した場合とでは天と地ほどの差があり、圧倒的に会社都合で退職した方が金銭面など色々な面で優遇されます。

金銭面の優遇は転職活動するさいに心のゆとりにも繋がり、じっくりと時間をかけて条件のマッチした会社を探すことができるので転職の成功率もアップします。もちろん、面接官に対する印象も自己都合退職と会社都合退職では異なります。

また、会社都合退職でなくてもやむを得ない理由の自己都合退職の場合は優遇されます。以下のページでどういった退職理由の場合、どのような優遇があるのかなどについて記載しているので宜しければ参考にしてください。

では、転職成功に向けて転職活動を頑張ってください。陰ながら応援させていただきます。